2023 Fiscal Year Research-status Report
Association between the underlying disease of bronchiectasis and morphological and bacterial features
Project/Area Number |
22K08226
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
田坂 定智 弘前大学, 医学研究科, 教授 (70276244)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 気管支拡張症 / 慢性下気道感染 / 間質性肺炎 / 気道細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
基礎疾患の異なる気管支拡張症における形態学的な特徴について、画像データを用いて引き続き検討を行った。慢性下気道感染の患者および間質性肺炎患者の高分解能CT(HRCT)画像データを専用のワークステーションで解析し、各病態における気管支拡張の形態学的特徴を検討した。肺非結核性抗酸菌症(NTM)の患者20例と間質性肺炎(IP)患者20例を対象として、HRCTデータから、気管支の内径、外径、WA%(気管支面積に占める壁面積の割合)、T/D ratio(気管支平均径に対する壁厚の割合)を求めた。IPでは末梢ほど内径・外径が小さくなったが、NTMでは気管支の世代によって変動がみられた。WA%とT/Dは、IPで世代間の変動が見られたが、NTMではIPのような傾向は見られなかった。気管支内径の変動係数が同等であったのに対し、外径はNTMで変動が大きく、WA%とT/DはNTMで変動が小さかった。NTMでは、気管支内腔が広がると気道壁も厚くなり、感染に伴う気管支拡張や気道壁の浮腫が主因と考えた。一方IPでは、気管支内腔が広がると気道壁は薄くなり、周囲組織からの牽引による変化と考えられた。 IP患者の気管支内腔面積を計測し、変化率と呼吸機能の変化や増悪・死亡との関連を検討した。15名を対象とし、CTの気道内腔面積の変化と%肺活量(%VC)や拡散能(%DLco)の変化との関連について相関係数を算出し、増悪・死亡との関連を評価した。結果として、面積変化率とVC・DLco低下率、増悪・死亡との間に相関はなかった。 下気道細菌叢とその経時的変化の評価についても検討を行った。気管支拡張症の患者6名から喀痰を採取し、培養検査を行ったところ、全員から有意菌(緑膿菌4例、肺炎桿菌2例)が分離された。ORNi-PCR法を用いて有意菌DNAの増幅を抑制し、優先菌種以外の細菌学的なプロファイルについて検討を開始している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気管支拡張症の形態学的検討については、当初予定していた検討をほぼ予定どおり終えることができた。今後はORNi-PCR法を用いた細菌叢の解析に重点を移して いく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
気管支拡張のある患者からの喀痰検体の収集を進めており、ORNi-PCR法を用いて有意菌DNAの増幅を抑制し、優先菌種以外の細菌学的なプロファイルを明らかにしていく。喀痰が採取できない患者については、同意が得られた者に対して気管支鏡検査を施行し、気管支洗浄液を採取する。気管支洗浄液の培養およびORNi-PCR法による解析を行い、下気道の細菌叢を評価していく。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、ORNi-PCR法を用いた細菌叢の解析が一部2024年度にずれ込んだことによる。予定されていた試薬の購入に用いる予定である。
|