2022 Fiscal Year Research-status Report
気管支喘息におけるオピオイド受容体遺伝子多型によるTh2免疫応答制御の基盤研究
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22K08238
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
大野 勲 東北医科薬科大学, 医学部, 特任教授 (00250762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮坂 智充 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (50709912)
川上 和義 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10253973)
曽良 一郎 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (40322713)
中村 豊 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (60328614)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 気管支喘息 / 精神的ストレス / μオピオイド受容体 / 一塩基多型 / Th2型免疫応答 / 樹状細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
気管支喘息は、好酸球や肥満細胞などの集積と活性化を特徴とする慢性炎症性気道疾患であり、Th2サイトカイン優位のアレルギー免疫応答により誘導される。環境要因のひとつである精神的ストレスは、喘息免疫応答の悪化因子であることが報告されている。申請者らはこれまでに、精神的ストレスによる喘息免疫応答の悪化にはμオピオイド受容体が関与している可能性を報告した。加えて、μオピオイド受容体遺伝子(OPRM1)rs1799971の遺伝子型がAAおよびAGの喘息患者に比べてGGの患者では気道過敏性が亢進していることを報告した。さらに、同様の遺伝子型(Oprm1 G112)をもつマウスでは、気管支リンパ節ならびに肺においてTh2型免疫応答が亢進していることを報告している。本研究では、OPRM1rs1799971の遺伝子型GGの患者において、喘息免疫応答が悪化する機序を解明するために、喘息マウスモデルを用いて、CD4+T細胞に発現するμオピオイド受容体一塩基多型がTh2型免疫応答悪化に与える影響を解析した。Oprm1A112とOprm1G112のマウスよりCD4+T細胞を採取し、Th2細胞への分化条件下でμオピオイド受容体アゴニストを用いて刺激したところ、in vivoで観察されたようなTh2細胞からのIL-4産生量に差は認められなかった。さらに、樹状細胞存在下でμオピオイド受容体アゴニストとともに、Oprm1A112とOprm1G112のマウスより採取したCD4+T細胞を刺激してもIL-4産生量に差は認められなかった。これらの結果から、Th2型免疫応答亢進において、CD4+T細胞上に発現するμオピオイド受容体遺伝子多型の関与は限定的である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従って、μオピオイド受容体一塩基多型マウス(Oprm1G112)における喘息病態悪化の責任細胞がT細胞である可能性について検討し、示唆的結果を得ることが出来た。今後、CD4+T細胞を対象とした解析をさらに継続するとともに、当初の研究計画に従って、樹状細胞に発現するμオピオイド受容体一塩基多型がTh2型免疫応答の亢進に与える影響を解析していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従って、次年度は主にOprm1遺伝子一塩基多型が樹状細胞機能(活性化、遊走能、貪食能、Th2細胞分化誘導能など)に与える影響を解析する予定である。さらに、樹状細胞の移入実験等を行い、Oprm1遺伝子一塩基多型による樹状細胞の機能変化を介して誘導されるTh2型免疫応答の亢進機序を明らかにする予定である。加えて、Oprm1遺伝子一塩基多型が樹状細胞の細胞内シグナル伝達におよぼす影響を解析し、分子生物学的視点から細胞機能の変化誘導メカニズムを解明する予定である。
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Causes of Carryover |
抗原特異的CD4+T細胞応答におけるOprm1遺伝子一塩基多型の影響を解析するための費用として使用予定であった物品費ならびに解析費を次年度に繰り越して使用する。加えて次年度では、Oprm1遺伝子一塩基多型による樹状細胞機能ならびに細胞内シグナル伝達の変化を解析する予定であることから、次年度使用額の一部をそれらの解析のための費用に加えて使用する。
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Research Products
(10 results)