2023 Fiscal Year Research-status Report
肺がん免疫療法の効果を予測する多抗原性血清抗体検出パネルの臨床開発
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22K08247
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
黒瀬 浩史 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30551139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 三喜男 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40223995)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | cancer-testis antigens / TAA / NSCLC / NY-ESO-1 / XAGE1 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害薬(抗CTLA-4/PD-1/PD-L1抗体)は、各種がん治療の標準薬として適応を拡大している。しかし効果は限定的で、高額治療による財政圧迫が課題であり、効果を予測するバイオマーカーの探索が必須である。現在、腫瘍PD-L1発現と遺伝子検査が一部に承認されているが、低い臨床性能(感度と特異度)、検出率、費用など問題が多い。 そのため本研究では、がん精巣抗原などに対する血清抗体をバイオマーカーとした、免疫チェックポイント阻害薬の効果を予測する検査薬(血清抗体検出パネル)の開発を目指す。前年度において、74種がん抗原(がん精巣抗原、がん関連抗原、腫瘍マーカー)に対する抗体反応のカットオフ値を設定した。本年度は、非小細胞肺癌(NSCLC)131例において、74種がん抗原に対する抗体反応をLuminex法で測定した。コントロール症例と比較し、NSCLCでは多種類の抗体反応を検出していた。がん精巣抗原以外ではTP53、HSP105、RaAで高値を示す症例を認め、がん精巣抗原では多種の抗体反応を検出したが、特にNY-ESO-1、XAGE1抗体が高値を示す症例を多く認めた。これらの各抗体反応はNSCLC患者の0-20%(中央値8%)で認めており、特にがん精巣抗原では48種のうち15種のがん精巣抗原で10%以上の陽性率を検出していた。これらの抗体のうち、MFI値、陽性率、腫瘍細胞における特異性より、NY-ESO-1、XAGE1抗体が最もモニタリングに適した抗体であると推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り集積した症例の多抗原の抗体を解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
多抗原に高感度の血清抗体検出パネルを用い、臨床的な有用性の検討を行う。 集積した患者血清の臨床情報と血清抗体検出パネルの結果と照合し、有用性を確認する。
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Causes of Carryover |
物品が請求した金額よりも安価に抑えられた。引き続き症例を集積し、次年度の多抗原の抗体測定費用にあてる。多抗原のうち、着目したNY-ESO-1/XAGE1抗体についてELISA法でモニタリングを追加で行う予定とし、これの費用にあてる。
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