2023 Fiscal Year Research-status Report
感染微生物の排除過程における肺コレクチンの新規生理作用の解明
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22K08285
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
有木 茂 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (80464478)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自然免疫 / コレクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
肺サーファクタントに含まれる肺コレクチンは、呼吸器の自然免疫において中心的な役割を果たす生体防御タンパク質である。肺コレクチンの生体防御機能については、感染微生物の凝集・増殖抑制、マクロファージによる貪食促進など、感染微生物と肺コレクチンの結合を基にした機能解析が行われてきた。しかし、肺コレクチンの一つであるSP-Dが、これまでに報告のない酵素活性を示す可能性を見出した。本研究では、SP-Dが本当に酵素活性を示すのか、また、そのような酵素活性が生理的にどのような意義をもつのかを明らかにすることを目的としている。 昨年度に引き続き、質量分析を用いた解析、カラムクロマトグラフィーを用いたフラクションアッセイを行ない、SP-D試料中の夾雑タンパク質の影響を否定する実験を行なった。しかし、フラクションアッセイ中に総活性が著しく低下する現象を解決することができず、本年度も明確な結論を得ることができなかった。 そこで、これまでに使用していたSP-Dとはソースの異なるタンパク質を用いて解析を試みた。これまではCHO-K1細胞により発現・精製したリコンビナントタンパク質を使用していたが、肺胞洗浄液から精製したタンパク質(native SP-D)を用いた。その結果、native SP-Dもリコンビナントタンパク質と同様に酵素活性を示し、その特性(最適pHや基質特異性)も昨年度に解析したリコンビナントタンパク質のものと同様であった。異なる出発材料から、異なる方法で精製したタンパク質試料が同じ活性を示したことから、やはり夾雑タンパク質ではなくSP-Dに活性があると考えられる。来年度、native SP-Dを用いてフラクションアッセイを再度行い、明確な結果を得たい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
クロマトグラフィー操作の過程で、解析対象としている活性が失われるという、当初予想していなかった現象のため、フラクションアッセイが計画通りに進んでいない。そのため、以降の研究計画に進むことができず、研究全体が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでとは調整方法の異なる試料を用いるなど軽微な変更を行うが、基本的な計画は変更せずに継続する。
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Causes of Carryover |
研究計画が当初想定通りに進んでおらず、取りかかれなかった実験があるため。 研究計画全体は変更しないので、次年度使用額は今年度取りかかれなかった実験のために使用する。また、翌年度分の助成金は当初から翌年度分として計画していた実験のために使用する。
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