2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism of progression from small airway disorders to emphysema in COPD and challenges to prevent disease progression
Project/Area Number |
22K08286
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
金澤 博 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (90332957)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | COPD / small airway / emphysema |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度においては、末梢気道病変と気腫性病変を個別に評価することが可能なバイオマーカーを同定することを目的として研究を進めた。第一に、COPD患者における末梢気道炎症を反映するバイオマーカーの同定に着手した。COPD発症前の長期喫煙者、COPD発症早期、及び中等症から重症COPD患者に対して、マイクロサンプリング法を用いてELF(気道上皮被覆液)を中枢気道と末梢気道から個別に採取し、COPDの末梢気道炎症に関与する分子群を網羅的に定量化した。そして、これらの炎症関連分子群の発現量とCOPD患者の生理学的指標との関連性について検討を加えた。次いで、COPD患者の末梢気道において観察される好中球性炎症の成立機序として、HMGB1-NLRP3 inflammasome系の末梢気道における過剰発現を検証することに着手した。結果として、HMGB1を介するCOPDの気道炎症の主要部位が細気道レベルであることを明らかにした。さらに、気道上皮細胞傷害により過剰産生されたHMGB1が、NLRP3 inflammasomeを活性化するとの仮説を明らかにするために、ELF中のHMGB1, IL-1β, IL-18を測定し、非COPD喫煙者、非喫煙者と比較検討することで、COPDの末梢気道レベルにおけるHMGB1-inflammasome系の活性化を明らかにした。令和4年度の研究成果により、未解明の状況であったCOPD発症の引き金とされる末梢気道病変を評価する基礎的データの集積が進みつつある。COPD発症の引き金とされる末梢気道病変とその後の病理学的変化である気腫性病変を個別に評価することが可能なバイオマーカーを同定し、さらに、その臨床応用を通して、COPDの疾患経過を詳細に解明することにより、未知の領域とされてきたCOPDの発症・進展機序を生化学的・生理学的視点から明らかにするという研究目標の達成のための重要なデータが集積できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々の施設は、大阪府下の呼吸器疾患診療の基幹病院として、新患・再診患者を含めて多数のCOPD患者の診療を行っており、個々の患者に対して、胸部HRCT検査・心肺運動負荷試験等を行い、詳細な患者データの集積してきた。我々の施設が採用しているマイクロサンプリング法は、施設独自の検査方法であり、検査経験も十分であり、当研究課題の確実な遂行には、特に支障はないものと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、COPD患者における末梢気道の壁硬化を反映するバイオマーカーの同定、及びCOPD患者における気腫性病変を反映するバイオマーカーの同定を計画している。さらに、研究期間中継続して末梢気道病変、及び気腫性病変を個別に評価することが可能なバイオマーカーを経時的に測定することで末梢気道病変から気腫性病変への進展を明らかにする予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により、国内外の学会出張が不可であったため。
|