2022 Fiscal Year Research-status Report
重症気管支喘息における気管支上皮細胞の病理学的機能の解明と新規治療の開発研究
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22K08287
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
平田 博国 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (60326890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有馬 雅史 獨協医科大学, 医学部, 教授 (00202763)
大和田 高義 獨協医科大学, 医学部, 講師 (30456016)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 気管支喘息 / 気道上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,気管支喘息の治療は飛躍的に向上した.しかし,依然として喘息患者数は年々増加しており,ステロイド抵抗性の重症難治性患者や死亡する患者が今も存在する.本研究では重症気管支喘息の発症機構について呼吸器系免疫システムの機能的ネットワークによって立体的に広がる病態構造を分子レベルで解析し,気道炎症の修飾機構における気管支上皮細胞の機能的役割を明らかにする.本研究は気管支上皮細胞内の2本鎖RNA編集酵素ADAR1の機能の解析を通して重症気管支喘息の病態制御機構の解明と新規治療法の開発を目指した基盤研究を行う.2022年度は気管支喘息モデルにおけるClub細胞の病態制御機構に対するADAR1の機能を解析するために,気道上皮細胞(Club細胞)特異的にADAR1を欠損させたコンディショナルKOマウス(CC10-Adar1-cKO)に対して卵白アルブミン誘導-気管支喘息モデルを作製して解析を行った.結果を以下に示す.(1)WTマウスと比べてcKOマウスでは著明な好酸球,好中球およびCD4+T細胞の浸潤を認めた.(2)コラゲナーゼ処理による肺由来の分散細胞についてマクロファージサブセット,T細胞サブセット,B細胞, NK細胞,顆粒球,自然リンパ球サブセットについてFACS法による解析を行った.WTと比べてcKOマウスにおいて好酸球と好中球およびCD44+ST2+CD4+T細胞(メモリーTh2細胞)の増加を認めた.一方,他の細胞分画については有意差を認めなかった.以上より, 気管支喘息の重症化には気道上皮細胞の機能変動が関与し,その機能亢進に対してADAR1は抑制的機能により制御すると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子改変マウスの産出が予想より少なかったため,解析に使用するマウスの確保が困難であった.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は重症気管支喘息の基盤的分子病態メカニズムの探索的解明を目的として各マウスの喘息モデルの肺より気道上皮細胞を純化抽出し,RNAシークエンス法で解析し,細胞特異的な発現変動遺伝子のプロファイル解析とパスウエイ解析および遺伝子・細胞レベルでクラスタリング解析を行う.以上の解析データの統合的な多変量解析により,気道上皮細胞のADAR1が直接・間接的に産生調節するmicroRNAやmRNAを探索し,気管支喘息の難治化・劇症化関連遺伝子の発現の特徴を明らかにして気道上皮細胞やADAR1の病理的意義を推定する.
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