2022 Fiscal Year Research-status Report
分子標的薬耐性肺がんにおける薬剤耐性獲得機構の解明と代謝制御を利用した治療法開発
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22K08293
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
中嶋 亘 日本医科大学, 医学部, 講師 (40557500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中道 真仁 日本医科大学, 医学部, 助教 (10837446)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 代謝リプログラミング / 薬剤耐性 / 耐性克服療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、EGFR変異陽性肺腺がんにおける分子標的薬耐性獲得機構の解明と、耐性化に強く関わっている代謝適応に関する研究を行ってきた。薬剤耐性獲得には細胞内外のストレスに適応する能力の中で特に多重の代謝適応を介して悪性化を促進する「代謝リプログラミング」が重要であると考えている。(1)薬剤耐性株の作成と質量分析装置による代謝関連因子の解析 EGFR変異陽性肺腺がん細胞株を用いて分子標的薬オシメルチニブを投与し続けることで作製した薬耐性株を解析した結果、細胞毎により種々の代謝経路の活性化を介するが、共通して酸化的リン酸化を亢進することで耐性獲得に寄与していることが分かった。この酸化的リン酸化を阻害するような薬剤をオシメルチニブと同時に投与すると耐性化した細胞にも顕著な抗腫瘍効果を誘導することができた。 (2)酸化的リン酸化を規定する因子の探索 薬剤耐性株と感受性株由来のミトコンドリアを単離、精製した後、代謝関連因子の増減量の変化を質量分析装置により解析した結果、酸化的リン酸化を制御することが予測される新規候補因子をいくつか同定した。(3)特定した候補因子の薬剤耐性化への作用機序 候補因子が酸化的リン酸化をどのような分子機構で制御しているのか、特にATPを濃度依存的に可視化できるシステムを用いて検証を行ったところ、興味深い結果が得られた。 これまでの結果を、第46回日本分子生物学会年会(2022年度)にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究経過から見出した酸化的リン酸化を制御する因子を解析していくうちに、この因子ががん免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬)による効果を妨げる機能をもつことが文献調査より予測された。この因子は、肺腺がんの中でとりわけEGFR変異陽性変異肺腺癌で高発現していることがわかってきた。EGFR変異陽性変異肺腺癌では免疫チェックポイント阻害薬による効果は期待できないとされてきたが、その効果を妨げているのは本研究で発見された因子による影響が考えらえた。今後は、この因子をゲノム編集でKnockoutした細胞を同種移植を用いた動物実験を行うことで検証を進めていたきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度は経費の高い動物実験を計画しており、動物飼育、動物へ投与する薬剤等の購入を予定している。
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Research Products
(1 results)