2023 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎臓病へのmiR-143/145の関与を明らかにする
Project/Area Number |
22K08302
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
坂入 徹 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (20455976)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 糖尿病性腎臓病 / 糸球体上皮細胞 / TGF-β / WT1 / miR-143 / miR-145 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性腎臓病における糸球体上皮細胞障害に液性因子のTGF-βが関与していることが知られている。申請者らは以前、ヒト培養糸球体上皮細胞にTGF-βを作用させると細胞の正常機能の維持に必要とされている転写因子のWT1の発現が低下することを見出し、TGF-βによる糸球体上皮細胞障害の機序の一つとして報告した。 今回、申請者らはmicroRNA microarrayを用いてTGF-βを作用させたヒト培養糸球体上皮細胞でmiR-143の発現が上昇することを見出し、更に、定量的PCR法を用いてTGF-βを作用させたヒト培養糸球体上皮細胞でmiR-143-3p/miR-145クラスターの発現が上昇すること、2型糖尿病モデルのdb/dbマウスの単離糸球体においてmiR-143の発現が増強することを確認した。 続いて、miR-143とmiR-145の機能を調べるため、レンチウイルスベクターを用いて培養糸球体上皮細胞にmiR-143またはmiR-145を強制発現させたところ、miR-143とmiR-145のどちらの強制発現においてもWT1の発現が低下することが示された。 更に、TGF-βによるmiR143/145の発現増加とWT1発現低下の機序を調べるため、レンチウイルスベクターを用いてSmad4のShRNAを培養糸球体上皮細胞に導入することでSmadシグナルをブロック、または、mTOR阻害薬のラパマイシンを作用させることでmTORシグナルをブロックしたところ、どちらの場合も、TGF-βによるmR-143とmiR-145の発現上昇、およびWT1の発現低下が部分的に抑えられた。 以上から、糸球体上皮細胞において、TGF-βはmiR143/145クラスターの発現を増加させ、増加したmiR143/145はSmadシグナルとmTORシグナルをそれぞれ部分的に介してWT1の発現を低下させることが示された。糖尿病性腎臓病における糸球体上皮細胞障害にmiR-143/miR-145クラスターが関与していることが示唆された。
|
Research Products
(4 results)