2022 Fiscal Year Research-status Report
難治性ネフローゼ症候群のエネルギー代謝動態から迫る新たな治療標的の探索
Project/Area Number |
22K08308
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前田 佳哉輔 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00836306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 由香 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60846864)
小杉 智規 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90584681)
加藤 規利 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90716052)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ポドサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
急増する慢性腎臓病は、心血管疾患のリスク因子であることや、進行に伴う高額な透析療法が大きな問題となっている。ポドサイトは、糸球体の濾過機能や恒常性の維持に重要な役割をもつ。持続するポドサイト障害は、糸球体硬化そして慢性腎不全へと進行する慢性腎臓病の共通のメカニズムであり、その病態解明やポドサイトを標的とした治療開発が望まれる。一次性の巣状分節性糸球体硬化症は、原因不明の難治性ネフローゼ症候群で、進行性のポドサイト障害をおこし、真に特異的な治療法がないのが現状である。本研究では、ポドサイト障害時のエネルギー代謝ダイナミクスの点から巣状分節性糸球体硬化症をはじめとする難治性ネフローゼ症候群の病態解明と、臨床情報も合わせた患者の層別化、それから導き出される傷害誘導因子の同定を目的としている。患者血清を使用した実験において、巣状分節性糸球体硬化症の患者血清による刺激は、微小変化型ネフローゼ症候群の患者血清刺激時と比べて有意にヒトポドサイト傷害を誘導した。エネルギー産生のプロファイル解析によりその程度は解糖系によるエネルギー産生の低下と有意な相関を認めた。少量の解糖系阻害剤を使用した場合においても、TNF-αやアドリアマイシン等によるポドサイト傷害時のみ、傷害性の悪化を誘導した。メタボローム解析においても解糖系経路がこの傷害性の差に寄与している結果を得た。これらの結果と臨床情報を合わせ、ネフローゼ症候群患者群の層別化を行い、傷害誘導因子の同定を進める。また、ポドサイト特異的遺伝子欠損マウスを作製は完了し、その解析も同時に進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroの実験においては想定通りに結果が得られている。ポドサイト特異的遺伝子欠損マウスの作成も予定通り完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はポドサイト特異的欠損マウスの定常時、傷害時の解析を進める。また、臨床情報と合わせて患者の層別化を行い、傷害誘導因子同定のため、質量分析も同時に行っていく予定である。
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