2022 Fiscal Year Research-status Report
低リン血症性くる病骨軟化症発症機序、PHEX・DMP1・FGF23連関の解明
Project/Area Number |
22K08316
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
黒須 洋 自治医科大学, 医学部, 准教授 (40468690)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | PEX / DMP-I / FGF-23 |
Outline of Annual Research Achievements |
エンドペプチダーゼであるPHEXと機能不明な酸性分泌蛋白質であるDMP-Iの変異に起因して発症する遺伝性疾患は、それぞれX染色体優性低リン血症性くる病・骨軟化症と常染色体劣性低リン血症性くる病・骨軟化症として知られている。これら2つの遺伝性疾患は、原因遺伝子は異なるものの、いずれの場合も骨細胞からのFGF23の分泌亢進が疾患発症の直接的な原因となるため、PHEX-DMP-I連関の破綻によるFGF23の分泌・亢進機構の存在が考えられている。 令和4年度は、申請者が本研究課題への予備的知見として見出しているPHEX 発現に依存したDMP-Iの発現減少がPHEXに依存したDMP-Iの切断であるか否かに関して、培養細胞での発現系を用いた解析を行った。その結果、DMP-Iの164 番目のグルタミン酸をアラニンに置換したDMP-I E164Aを野生型PHEXと共発現させた場合、野生型DMP-Iと野生型PHEXを共発現させた場合に認められる70-kDaのDMP-Iフラグメントが消失することが明らかになった。この70-kDaのDMP-Iフラグメントは、野生型DMP-Iと不活性型PHEXを共発現させた場合も消失する。さらに、DMP-Iの163番目のセリンと164番目のグルタミン酸が連続した配列は、合成ペプチドを用いた際のPHEXの切断配列と一致することから、DMP-Iの163番目のセリンと164番目のグルタミン酸の間をPHEXが切断するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備的知見より見出していた培養細胞レベルでのPHEX発現に依存したDMP-Iの発現減少にPHEXに依存したDMP-Iの切断が関与していることを示すことができた。この知見は、DMP-IはPHEXの基質とならないというこれまでの定説を覆すより直接的な実験結果である。このことから研究課題は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度の研究より明らかとなった知見をもとに、PHEXに依存したDMP-I切断部位と推察できる164番目のグルタミン酸をアラニンに置換したDMP-I E164Aを野生型PHEXと共発現させた培養上清中に、UMR-1細胞でのFGF23発現抑制活性がないことを確認したうえで、PHEX-DMP-I連関に依存したFGF23発現抑制活性の単離を試みる。 アラニンスキャニングによるDMP-I遺伝子への変異の導入がPHEXによるDMP-I切断部位の同定に有効であることが示されたため、活性の精製とともに、この手法による変異導入によりDMP-I内のS163E164部位以外のPHEXによる切断部位の探索も進める予定である。
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Research Products
(2 results)