2022 Fiscal Year Research-status Report
新たな腎保護薬の開発を目標とした、ウロモジュリンの機能解析
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22K08327
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小野江 為人 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (80603498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 清亮 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任准教授 (10467110)
川野 充弘 金沢大学, 附属病院, 講師 (20361983)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ウロモジュリン / UMOD / Tamm-Horsfall蛋白 / ADTKD / ADTKD-UMOD / 腎間質障害 / 慢性腎臓病 / 遺伝性腎疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウロモジュリン関連常染色体優性間質性腎疾患(ADTKD-UMOD)は単一遺伝子病として、進行性の腎間質障害、腎不全をひきおこす疾患であり、未だ明らかになっていない腎間質障害発症進展メカニズムを解明する最適なツールであると言える。 しかし、ADTKD-UMODは、稀な疾患(頻度:約1.5/100万人)であり、血液浄化療法が必要な末期腎障害の状態になるまで、診断されない症例も一定数存在すると考えられる。 我々は、ADTKD-UMODの早期診断、治療が可能となる事を目的とし、その臨床的特徴および、生体内UMODタンパク動態(腎病理像、血中、尿中UMOD濃度)を評価した。 国内の多くの施設から集められた7家系、7変異を有する10ADTKD-UMOD症例の血清、尿中UMOD濃度がコントロール(同程度の腎機能を有するCKD患者群)に比べて有意に低下している事を明らかにした(血清:ADTKD-UMOD 21.09±12.48ng/ml、コントロール296.88±123.88 ng/ml 、尿(UMOD/Cr):ADTKD-UMOD 1.885174±0.97mg/g Cr、コントロール 14.09±13.80 mg/g Cr)。UMOD免疫染色をしなければ、腎組織像でADTKD-UMODに特徴的なUMODタンパクの異常蓄積像を見出すことは難しいと思われていたが、PAS染色においても同定可能な事をADTKD-UMOD腎組織13例において示した。この所見により、今後ADTKD-UMODの診断率が高くなり、その臨床像がさらに明らかになることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ADTKD-UMOD患者の臨床的特徴を解明するための症例数は順調に増えており、解析も進んでいる。 UMODタンパク機能解析実験に関しては、HK-2細胞の培養条件の調整に時間がかかっており、未だ準備中である。そのため本格的な実験は次年度以降になる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、計画書通りUMODを産生しない腎近位尿細管由来培養細胞(HK-2細胞)に対して外部よりUMODを投与し、UMODの遠隔的効果を評価する予定である。また、他研究室より血清UMODは敗血症において、腎および腎外臓器に対し、保護的に働く事が報告された。(The kidney protects against sepsis by producing systemic uromodulin Am J Physiol Renal Physiol 2022) 我々もこの報告を踏まえて、血清UMODの全身に対する影響を検討するため、UMODノックアウトマウスを作成、評価する予定としている。
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Causes of Carryover |
UMODノックアウトマウス作成し検討する計画が次年度以降となったため。
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