2022 Fiscal Year Research-status Report
血液透析患者におけるPEW・栄養障害、MDSC、感染症の関連
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22K08334
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
森 克仁 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (60382040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
繪本 正憲 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90275248)
上殿 英記 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (90847435)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | MDSC / PEW / 感染症 / 血液透析 / 栄養障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎臓病患者、特に透析患者では骨格筋・体脂肪が減少したprotein-energy wasting (PEW)が高頻度に認められる。栄養障害、慢性炎症、異化亢進と密接に関係し、PEWは予後不良である。感染症による死亡とも関連するが明確な機序は不明である。近年、悪性腫瘍のcachexiaや敗血症後に認められる免疫機能低下、慢性炎症、異化亢進にmyeloid-derived suppressor cells (MDSC)の関与が報告されている。 本研究の目的は、透析患者におけるPEW・栄養障害では免疫抑制機能を有するMDSCが増加するという仮説を横断的に検討することである。さらに透析患者での前向き観察コホートを構築し、PEW・栄養障害、および、MDSCの増加が、感染症入院、感染症入院後の総死亡を予測するかについても検証する。 現在、研究支援ツールであるResearch Electronic Data Capture(REDCap)を使用しながら、透析患者のベースラインの臨床データ、およびフローサイトメトリーを用いたMDSCの評価を開始し、約100名が登録中である。今後、ベースラインのデータ集積を続けながら、まず、geriatric nutritional risk index (GNRI)などで評価した栄養指標とMDSCについて横断的に検討を行う予定である。さらに、コホート構築もすすめ、MDSCあるいは栄養指標と感染症入院を中心としたアウトカムについても検証を進めていく方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予備検討ではフローサイトメトリーによるMDSCの計測には問題がなかった。しかし、コロナウイルス蔓延の影響で関連病院での研究開始が大幅に遅れた。また、フローサイトメトリーは採血当日の検体処理、計測が必要であるため、実臨床上、当院・実験室への搬送時間を考慮すると、早朝に血液透析開始の患者のみが対象となることが判明した。さらに冬季には低温によると思われる血液サンプルのダメージのためフローサイトメトリーでの計測が不可な症例が発生した。
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Strategy for Future Research Activity |
ベースラインのデータ取得は開始できたが、今後、症例数の確保が課題となる。今後、フローサイトメトリー計測に従事する人数を増員し、早朝に血液透析を開始する患者に加え、午前10時以降に血液透析を開始する患者も加える予定である。血液検体の搬送には、冬季、夏季の極端な気温時には、搬送ボックスの間接的な加温、冷却を検討する。上述の通り、まずは栄養障害とMDSCの関連の横断的検討を試みる方針である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス蔓延に伴い関連病院での研究開始(フローサイトメトリーの検体採取)が遅れたことにより使用経費が減少。また、同様の理由で現地での学会参加も少なく旅費も発生しなかった。
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