2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K08336
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
武藤 正浩 順天堂大学, 医学部, 助教 (30790076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 仁 順天堂大学, 医学部, 教授 (10468572)
鈴木 祐介 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (70372935)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | IgA腎症 / 粘膜免疫異常 / 糖鎖異常IgA1 |
Outline of Annual Research Achievements |
IgA腎症は本邦をはじめとした諸外国で最も多い糸球体腎炎の一つであり、無治療で30-40%の患者が末期腎不全に至る予後不良の疾患である。IgA腎症の病因に粘膜免疫異常の関与が示唆されているが、その全容は依然明らかなにされておらず、特異的な治療は依然確立されていない。近年IgA腎症において、腸管免疫に特異的に作用するステロイドであるブデソニドの臨床試験が行われ、2017年にPhase2b試験が、2023年にPhase3試験の結果が報告され、ACE/ARB投与下におけるIgA腎症患者に対し尿蛋白減少、腎機能悪化速度の低下が報告され、明らかな副作用の増加がないことが確認され、IgA腎症患者への新たな治療の選択肢として期待されている。 我々は、IgA腎症患者に対するブデソニドのPhase2b試験における患者血清を用い各種バイオマーカーを測定し、ブデソニドの腸管免疫を含めた免疫学的な作用機序について検証を行った。IgA腎症患者に対するブデソニド投与後、IgA腎症の発症・進展に関わる糖鎖異常IgA1、および糖鎖IgA1に対する自己抗体による免疫複合体、分泌型gAの低下が確認され、さらには小腸の粘膜障害を示唆する血清FABP2レベルについても低下が確認され、ブデソニドが腸管の粘膜免疫への作用を介し、糖鎖異常IgA1および糖鎖IgA1に対する自己抗体による免疫複合体産生を抑制し、腎症の発症進展を抑制している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初IgA腎症患者の末梢血リンパ球上におけるリガンドの発現を解析することにより、IgA腎症において糖鎖異常IgA1を作成するB細胞の由来臓器の検証の予備実験を開始していた。しかし、ブデソニドが腸管免疫に作用しIgA腎症に対し治療効果をもたらしている可能性が考えられることから、ブデソニドのIgA腎症患者の腸管免疫への作用機序を解析することによりIgA腎症患者の粘膜を中心とした免疫異常の解析を進めていくこととし、現在解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ブデソニド投与前後で血清中の複数のサイトカインやケモカインの変化を解析することにより、ブデソニド投与による免疫や炎症シグナルにおける作用機序を明らかにすると共に、IgA腎症における粘膜免疫異常の一部の解明を目指している。
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Causes of Carryover |
当初の予定より当該年度の研究費歳出が抑えられる形となっており、次年度の実験および学会活動を含めた学術関係の費用として使用予定である。
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Research Products
(5 results)