2022 Fiscal Year Research-status Report
2型自然リンパ球に着目した慢性腎臓病の分子病態解明と治療応用
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22K08338
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
長島 隆一 昭和大学, 医学部, 助教 (20783707)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腎間質線維化 / ILC2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は、① 腎臓における2型自然リンパ球(ILC2)の生理的機能の解明 ②腎疾患におけるILC2応答機構の解析を通じ、新規CKD治療基盤を樹立することである。CKD病態の進行には、原疾患に関わらず共通して腎間質線維化を伴い、低腎機能および腎予後と関連している。つまり、腎間質線維化の克服はCKD治療において最重要課題であると言える。 本年度は、片側尿管結紮による腎線維化モデルを用い、線維化した腎臓ではILC2が減少し、IL-33投与により線維化を予防し得ることを報告した。これは、線維化腎の組織環境が、ILC2に何らかの負のシグナルを伝達し、ILC2による線維化抑制効果を打ち消していることを示唆している。 この推察から、線維化によって生じる低酸素環境が、組織環境の変化に鋭敏であるILC2活性に影響した可能性を考えた。そこでさらなる研究を行い、線維化で生じる腎組織の低酸素環境において活性化する低酸素応答因子(HIF)によって、腎ILC2の2型サイトカイン産生やILC2増殖能が抑制され、抗炎症作用を有するM2マクロファージの誘導が制御されることを突き止めた。このことは、線維化による低酸素でILC2機能が低下することにより、M2マクロファージが誘導されにくくなることで初期の炎症が制御できず、線維化を促進することに繋がると考えられる。 以上のことから、ILC2は腎臓において線維化の進行を喰い止めることが出来る可能性が高く、線維化治療の鍵となることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腎線維化モデルにおけるILC2/IL-33軸の関与を報告したことや、線維化で生じる低酸素環境下で活性化するHIF(低酸素誘導因子)とILC2の関与を報告したことから、CKDへと至る線維化におけるILC2が果たす役割に関して一定の方向性を示すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、アデニン誘導性CKDマウスモデルを用いており、当モデルでのILC2応答解析を実施している。CKDモデルにおけるILC2の治療効果や、CKD腎環境におけるILC2 profile等も解析していく予定である。
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