2022 Fiscal Year Research-status Report
腹膜線維化におけるマクロファージの極性の関与と新規治療法への応用
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22K08356
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西野 友哉 長崎大学, 病院(医学系), 教授 (50464409)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腹膜線維化 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
末期腎不全に対する治療法のひとつである腹膜透析(Peritoneal dialysis:PD)療法は、残存腎機能の保持と生命予後の改善という観点から有用な治療法である。しかしながら、長期PDに伴う組織学的・機能的腹膜劣化は、腹膜の線維化や除水不全を惹起し、PDの継続を妨げる深刻な要因となっている。マクロファージは細胞外のシグナルに応答して機能や形態を変化させることで炎症や免疫応答に関与しているが、これは細胞分化と異なり環境の変化に応じて可逆的に変化しうることから極性化(polarization)と言われている。近年、様々な臓器における線維化の形成過程において、マクロファージの極性が関与している事が報告されている。本研究では、腹膜線維化の過程においてマクロファージの極性がどのように変化し、線維化に関与しているのかを明らかにし、その機序に基づいた新規予防・治療法の開発につなげる事を目的とする。 本年度はマウス腹膜線維化モデルであるクロールヘキシジン(CG)誘発腹膜線維化モデルにおける検討行った。3週間の隔日投与によるCGの投与によって腹膜線維化が惹起され、F4/80陽性のマクロファージの浸潤が確認された。その時点でのマクロファージのphenotypeを確認するためM1マクロファージのマーカーであるCD86による免疫組織化学を施行したところ、F4/80陽性マクロファージの大部分はCD86陽性細胞であった。以上よりCGモデルにおいて腹膜線維化が完成した段階のマクロファージのphenotypeはM1マクロファージである事が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CG誘発腹膜線維化モデルにおけるマクロファージのphenotypeが確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、CGモデルにおけるマクロファージの浸潤の程度の推移とそのphenotypeを確認していく。腹膜線維化が完成した第3週以外の1、2週の評価を行う。クロドロン酸をもちいた実験により標的となるphenotypeを同定する。
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