2022 Fiscal Year Annual Research Report
内皮細胞障害に着目したCKD血管石灰化メカニズムの解析と標的治療の確立
Project/Area Number |
22K08367
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 真弓 愛知医科大学, 医学部, 助教 (60634821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石本 卓嗣 愛知医科大学, 医学部, 教授 (00534835)
伊藤 恭彦 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60402632)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 血管石灰化 / マグネシウム / Glycocalyx / 血管内皮細胞障害 / CKD |
Outline of Annual Research Achievements |
CKD患者における血管石灰化には、血管内皮細胞障害の関与が想定されているが、未解明な点も多い。Mgは血管石灰化抑制因子として注目を集めており、透析患者の検討では、Mgが高P誘発性の血管平滑筋細胞の石灰化を防ぐ機序が提唱されている。一方、高P血症が顕著となる前の保存期CKDにおけるMgの血管石灰化抑制機序については明らかにされていない。 CKD保存期では、酸化ストレスが血管内皮、特にGlycocalyx障害を介して内膜の石灰化を来し得る。本研究では、血管内皮障害と内膜石灰化の関連性を解明し、Mgが保存期CKDにおいて内皮保護を介して血管石灰化を抑制する可能性を明らかとすることを目的とした。 保存期CKD患者(eGFR45-HD導入前)の患者集団において、単純CT上の腹部大動脈石灰化容積を計測し、血清Mg濃度を測定した。また、血管内皮細胞障害マーカーであるsyndecan及びヒアルロン酸濃度、酸化ストレスマーカー(SOD,TBARS)の測定準備を進めた。 動物実験では、マウスの大動脈切片において、CD31染色及びHABP染色を用いて血管内皮細胞表面の発現とヒアルロン酸の存在を確認した結果、ヒアルロニダーゼ処理をしたマウスでは、処理をしていないマウスと比較してヒアルロン酸の欠落を確認した。次に、Glycocalyxが陰性荷電を有する事を利用し、マウスをリン酸緩衝生理食塩水で還流した後、陽性荷電であるcationic ferritinを還流し、大血管を電子顕微鏡で観察した結果、Cationic ferritinの沈着を確認した。今後は、他の研究者に引継ぎ、Mgが内皮細胞保護的役割を介した血管石灰化の抑制に寄与する可能性について検討を進めてゆく予定である。
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