2022 Fiscal Year Research-status Report
低密度好中球(LDN)のmiRNAを治療標的とした好中球性皮膚症の病態解明
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22K08385
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
東 裕子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (00381179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 宗一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (20325814)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 好中球 / miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
乾癬患者血清による miRNA 網羅解析から得られた、疾患で上昇しているmiRNAの一群について検討を行った。4種類のmiRNA (mir-223、miR1290、miR-A、miR-B)は、患者19名と健常者3名の血清で比較すると、いずれも健常者群と比較して疾患群では有意に上昇していることがわかった。ヒト前骨髄性白血病細胞株のHL-60をATLAで刺激し好中球へ分化誘導させた細胞dHL-60においては、ATLA刺激前と比較し、miR-223、miR1290の発現が上昇していた。一方、miR-Aは、ATLA刺激の有無にかかわらず発現が認められず、miR-Bは、発現していたものの分化前後で発現量に差がなかった。好中球サブセット、正常密度好中球(NDN)と低密度好中球(LDN)の検討では、mir-223、miR1290、miR-Bでは、NDN、LDNの両方にほぼ均等に発現していたが、miR-AはLDNにのみ発現していた。HL-60の結果と合わせて、miR-Aについては、成熟した好中球では発現がみられず、未熟な細胞と言われているLDNに特異的に発現していることが示唆された。 LDNとNDNは、磁気ビーズ法で好中球を分離したあと、密度勾配遠心法で抽出した。これらの表面マーカーを検討したところ、NDNに比べてLDNでは、CD16b、CD66b、 CD15の発現量が多いことがわかった。現在の分離方法では、細胞へのダメージが大きく、機能解析には不向きであった。また、疾患における血中のLDNの測定には、より簡易的で定量性に優れた方法が必須であることから、現在、LDNに特異的に発現しているmiR-Aを利用した抽出方法を検討している。好中球性皮膚症での血中のLDNの割合、NET 関連分子について評価していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
疾患でのmiRNAの発現の検討を行い健常人と比較検討できていることや、低密度好中球における発現など検討できていることから判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従って進めていく方針である。低密度好中球に特異的に発現しているmiR-Aを利用した抽出方法について、フローサイトメトリー法による定量化を現在試みている。その後、好中球性皮膚症患者での血中のLDNの割合、NET 関連分子について評価していく予定である。また、miR-Aの皮膚炎症への影響をみるために、ヒト単球由来細胞(THP-1) 、ヒト表皮角化細胞(HaCaT)、ヒト線維芽細胞(NHDF)、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いて、細胞機能についてさまざまな方向から検討していく。
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Causes of Carryover |
発注した試薬が、受注生産のため届くまでに2ヶ月超かかり、次年度の使用となった。翌年度に計画されている研究も予定どおり進行中であり、次年度に繰り越した試薬の研究についても並行して実施していく。
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