2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K08386
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
武居 公子 琉球大学, 病院, 助教 (90325861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海川 正人 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00325838)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 有棘細胞癌 / 腫瘍微小環境 / Rap2 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス有棘細胞癌モデル細胞株(低転移細胞株、親株)および親株からin vivo selectionで樹立された高転移細胞株(娘株)の遺伝子発現をDNAチップで比較し、転移に関係すると思われる幾つかの候補分子を得た。そのうち、シグナル伝達分子であるRap2に注目し更に解析を進めたところ、有棘細胞癌臨床検体での免疫染色で浸潤する単球に発現陽性を示した。腫瘍に浸潤する単球系細胞は腫瘍関連マクロファージ(tumor-associated macrophage TAM)として腫瘍免疫や腫瘍の微小環境形成に重要な役割を果たしていると考えられている。Rap2は癌遺伝子産物Rasの類縁体であるが、悪性腫瘍における機能の詳細は不明であり、A、B、Cの3つのアイソフォームを持つ。定量RT-PCRの結果、マウス骨髄由来単球をM-CSF (macrophage colony stimulating factor) 刺激で分化したマクロファージで発現増強するのはRap2Bであることがわかった。この時、類縁体であるRas、Rap1の発現に差は見られなかったので、M-CSFによるRap2の発現増加はRap2に特有のシグナル伝達であるといえる。そこで、Rap2Bノックアウト (KO) マウスと野生型同胞 (WT) で皮下に接種した腫瘍の増大速度を計測した。KOマウス10匹、WTマウス11匹で検討したが、有意差は出なかった。これはRap2B以外にも腫瘍増大に関わる分子が多数存在するためと考えている。Rap2B KOマウスとWTマウスの骨髄由来単球をマクロファージに誘導し、transwell assayでの浸潤能の比較解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
M-CSF刺激による発現増加がRap2特有のシグナル伝達であることを見出した。マウスへの腫瘍接種実験で有意差が出なかったが、in vitroでの実験に切り替え、解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
候補分子の腫瘍免疫における働きをin vitroおよびin vivoの両方で解析する。増大速度に有意差は見出せなかったが、腫瘍へのTAMの浸潤数については未解析である。そこで、誘導したマクロファージの遊走能や浸潤能・増殖を、また、接種した腫瘍からTAMを抽出し、その数や機能をWTとKOで比較する。
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Causes of Carryover |
動物施設の空調が故障し、飼育室が移動になったために一定期間の交配不調があり、動物実験不能期間が生じたことから飼育動物数が減少し、当初計画よりも動物飼育費用が減少したため。本年度、増加が見込まれる動物実験への使用を計画している。
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