2023 Fiscal Year Research-status Report
ハンセン病の病態形成における病原体-宿主相互作用の解析
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22K08396
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
宮本 友司 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター 感染制御部, 主任研究官 (40392328)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ハンセン病 / 病態形成 / らい菌 / 抗酸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
らい菌 (Mycobacterium leprae)が病原体であるハンセン病は、主に末梢神経障害やその結果生じる四肢における身体障害等が臨床状として現れる。しかし、らい菌がどのようなメカニズムでこれらの病態を引き起こしているかについては、解明されていない点も多い。本研究では、らい菌感染ヌードマウスモデルを用い、生体内で増殖過程のらい菌が、どのような振る舞いをすることで、生体側に影響を及ぼしているかについて焦点を絞り解析を行う。具体的には、ヌードマウス内で増殖しているらい菌の遺伝子発現及びそれらと関連する菌体成分の動態、さらに宿主側のヌードマウスの遺伝子発現動態を解析する。これらを統合的にまとめ、増殖に伴うらい菌側の変化が宿主側の病態形成にどのような寄与をしているのか、これらについてその相互作用の解明を試みる。 これまでに、ヌードマウス内で増殖したらい菌から十分量のRNAを回収する手法を検討した結果、らい菌RNAを安定的に取得することが出来ている。当該年度は、らい菌の菌体成分について、ヌードマウス内で増殖したらい菌の総糖脂質成分の動態を明らかにすることを試みた。ヌードマウスから取得したらい菌に対して有機溶媒処理を行い、分離した総糖脂質成分の機器分析を行った。その結果、総糖脂質には多くの構成成分が含まれており、さらに、らい菌に特有な糖脂質成分が占める割合が比較的高いことが判明した。これらの結果は、ヌードマウス内で増殖するらい菌の経時的な変化を菌体成分の側面から把握する際に、重要な指標と成り得る可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子及び菌体成分解析には、大量のらい菌菌体が必要である。それぞれの経時的なポイントにおいてある程度のらい菌体が必要なため、それらを有するヌードマウスを確保するのに時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
らい菌を接種したヌードマウス数を増やし、遺伝子及び菌体成分解析に必要ならい菌菌体を確保する。
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Causes of Carryover |
解析に必要ならい菌感染ヌードマウスを十分に確保できなかったため、次年度はそれらのヌードマウスに重点的に使用する。
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