2023 Fiscal Year Research-status Report
ケラチン遺伝子変異の違いによる単純型表皮水疱症の病態への影響と個別化医療の開発
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22K08398
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
岸部 麻里 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (90431410)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 表皮水疱症 / ケラチン線維 / 細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
表皮水疱症(EBS)でみられるケラチン(K)14変異の違いが、表皮細胞の恒常性に異なった影響を与えるとの仮説を立てた。K14野生型(WT)とEBSでみられる2つの変異(R125C、G364RFr*118)をドキシサイクリン(Dox)誘導性に発現するHaCaT細胞株を作成し、この3つの細胞株を用いて、細胞質内の変異K14異常凝集が細胞骨格構造に与える影響について比較検討を行う。これにより、個別化医療の可能性を見出すことを目的としている。 これまで、K14 G364RFr*118は、K14異常凝集体を形成することによって、ホットスポット変異R125Cよりも高度な細胞骨格の脆弱性を引き起こす可能性があることを明らかにした。また、K14変異はミトコンドリアの細胞質内の局在に影響することが分かった。 細胞質内の異常K14凝集体を分解には、ユビキチンを介したプロテアソームかオートファジーによるリソソームを介する経路が関与すると考えた。そこでオートファジー関連分子LC3、ATGの発現をRT-PCRとウエスタンブロッティングにより解析した。オーとファジー関連分子は、野生型、R125C、G364RFr*118で有意な差がみられなかった。このことからオートファジー経路の関与は否定的であると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、K14変異によるミトコンドリア分布の障害について検討を行う予定であった。本研究は既報告を参考に同様の角化細胞株と培養液を用いているが、学会発表の際、無血清培地を用いた際、細胞の脆弱性に違いが出るとの指摘があった。これを受け、無血清培地下における細胞質内K線維の凝集体について、追加で観察を行った。予備実験の段階では、血清の有無による差は観察されていないが、再現性があるか確認を行う予定である。当初の計画になかった実験を追加したため、計画にやや遅れが生じているが、培養条件による細胞形態の影響は重要な問題と考え、計画に追加することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
上記、追加検討を行った後、ミトコンドリアの品質評価実験を行う。これと並行して、2024年後の計画に従い、創傷治癒アッセイを行うことを計画している。
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Causes of Carryover |
手続き上の理由が最大の要因ではあるが、追加実験を施行するにあたり、過去に購入した消耗品により実施することができたことで支出を抑えることができた。また、研究成果の発表に関して、科研費からの旅費の支出を抑えるよう努めたことも次年度使用額が生じた理由とのひとつとなっている。
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