2022 Fiscal Year Research-status Report
各種MEK阻害薬の抗PD-1抗体併用時における悪性黒色腫腫瘍免疫への効果
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22K08417
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
門野 岳史 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (80292910)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 悪性黒色腫 / MEK阻害薬 / 抗PD-1抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
MEK阻害薬は通常BRAF阻害薬との併用で用いられ、BRAF変異のある悪性黒色腫腫瘍細胞に直接作用することで腫瘍細胞の増殖を抑える。しかしながら、近年MEK阻害薬は血球細胞の腫瘍免疫を高めることが示され、血球細胞に対する作用も重要であることが判明した。本研究では2022年度は、trametinib、binimetinib、cobimetinibといった複数のMEK阻害薬を用いて、免疫チェックポイント阻害薬との併用による効果について検討した。B16F1悪性黒色腫細胞をC57BL/6マウス背部皮内に50万個打ち、腫瘍が形成された段階で、抗PD-1抗体を5mg/kgの量で5日間間隔腹腔内に2回投与し、その後の腫瘍の成長速度を計測した。これら免疫チェックポイント阻害薬に加えて、trametinib (0.5μg)、binimetinib (250μg)、cobimetinib (150μg)のいずれかを3日間間隔で内服した。また、これらMEK阻害薬は発熱をきたすことが知られているため、体温の測定も経時的に行った。現時点では、無処置群と比較して抗PD-1抗体を用いた群では、腫瘍の成長速度が遅延していた。また、MEK阻害薬を単独で用いた場合は腫瘍の成長速度は無処置群と同程度であった。抗PD-1抗体とMEK阻害薬を併用した場合はさらに腫瘍の成長速度が遅くなる傾向が見られた。どのMEK阻害薬を用いた場合が良いかについては結果にばらつきがあり、まだはっきりしたことは言えない。体温に関してはMEK阻害薬を用いることで上昇傾向が見られる一方、腫瘍の成長速度が速い群でも上昇傾向が見られたため、さらなる解析を行なっていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
条件設定の段階でのばらつきが依然大きく、また、一回あたりの実験期間が長いため結果が出るのにある程度時間がかかるという問題もあった。また、研究協力者の人員の問題も生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きマウスを中心の実験を行う。実験は一部を研究協力者とともに行い、検討を進める。また、人リンパ球を用いたvitroの実験も並行して進めていく。
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Causes of Carryover |
実験計画がやや遅れ、次年度に追加で実験を行わなければならなくなったため、次年度使用額が生じた。主たる出費はマウスの飼育費、投与する抗体、MEK阻害薬、RealtimePCRにもちいるプライマーなどの消耗品である。
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