2023 Fiscal Year Research-status Report
各種MEK阻害薬の抗PD-1抗体併用時における悪性黒色腫腫瘍免疫への効果
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22K08417
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
門野 岳史 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (80292910)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 悪性黒色腫 / PD-1 / MEK阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
MEK阻害薬は通常BRAF阻害薬との併用で用いられ、BRAF変異のある悪性黒色腫腫瘍細胞に直接作用することで腫瘍細胞の増殖を抑える。しかしながら、近年MEK阻害薬は血球細胞の腫瘍免疫を高めることが示され、血球細胞に対する作用も重要であることが判明した。本研究では2023年度は、trametinib、binimetinib、cobimetinibといった複数のMEK阻害薬を用いて、免疫チェックポイント阻害薬との併用による効果について引き続き検討した。B16F1悪性黒色腫細胞をC57BL/6マウス背部皮内に50万個打ち、腫瘍が形成された段階で、抗PD-1抗体を5mg/kgの量で5日間間隔腹腔内に2回投与し、その後の腫瘍の成長速度を計測した。これら免疫チェックポイント阻害薬に加えて、trametinib (0.5μg)、binimetinib (250μg)、cobimetinib (150μg)のいずれかを3日間間隔で内服した。また、これらMEK阻害薬は発熱をきたすことが知られているため、体温の測定も経時的に行った。現時点では、無処置群と比較して抗PD-1抗体を用いた群では、腫瘍の成長速度が遅延していた。また、MEK阻害薬を単独で用いた場合は腫瘍の成長速度は無処置群と同程度であった。抗PD-1抗体とMEK阻害薬を併用した場合はさらに腫瘍の成長速度が遅くなる傾向が見られた。またMEK阻害薬間では今のところは明らかな差は見られていない。また、マウスのリンパ球を用いてMEK阻害薬を加えサイトカインの発現を検討したところ、trametinib添加によりIL-6の発現が増加し、これが発熱に関与していると考えられた。今後はin vivoの実験とマウスと人のリンパ球を用いたin vitroの実験を並行して行い、MEK阻害薬の免疫に対する影響に関して検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vivoの実験の結果にばらつきが大きく、依然条件設定の修正を余儀なくされている。リンパ球を用いた系に関しては少しずつ結果が出つつあるが、人員の問題もあり、遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はin vivoの実験とマウスと人のリンパ球を用いたin vitroの実験を大学院生と共に並行して行い、MEK阻害薬の免疫に対する影響に関して検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
実験計画がやや遅れたため次年度使用額が一部生じた。主たる品目はマウスの飼育費、投与する抗体やフローサイトメトリー用の抗体、MEK阻害薬、ELISAキットなどの消耗品である。
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