2023 Fiscal Year Research-status Report
水疱性類天疱瘡におけるIgE自己抗体特異的皮膚炎症増幅機構の解明
Project/Area Number |
22K08421
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
泉 健太郎 北海道大学, 大学病院, 講師 (50793668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
氏家 英之 北海道大学, 医学研究院, 教授 (60374435)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 水疱性類天疱瘡 / 17型コラーゲン / IgE / 好塩基球 / CD203c |
Outline of Annual Research Achievements |
水疱性類天疱瘡(BP)患者の末梢血における活性化好塩基球について前年度のフローサイトメトリ―を用いた解析ではBP患者において好塩基球の活性化マーカーであるCD203cの高発現がみられる活性化好塩基球の分画が健常人と比較して有意に高値を呈することを確認した。しかし、BP患者と健常人の末梢血好塩基球上のCD203cの発現量をMean Fluorescence Intensity (MFI)により比較した際には統計学的な有意差がみられなかった。好塩基球分画による比較とMFIによる比較における解析結果の乖離について、検証するために治療前のBP患者および健常人のサンプル数が解析に際して十分確保できていない可能性が懸念された。新たにBP患者や健常人からのサンプル数を追加して解析を行うことで再度MFIの比較を行うことが望まれる。 また、前年度からの課題であった、BP自己抗体の主要な病原エピトープである180NC16A領域以外の部位を認識するモノクロ―ナル抗体を作製するため、主にBP180(17型コラーゲン)のC末端領域についての領域特異的ペプチドを合成ペプチドとして3種類(EELLSLLRGSEFRG(1161-1175)、SSISVEDLSSYLH(1194-1206)、SGALATYAAENSD(1232-1244))作成し、それぞれの合成ペプチドを抗原として用いることでSJLマウスに強制免疫を行った。強制免疫したSJLマウスから作成したハイブリドーマの培養上清をサンプルとして用いた、ハイブリドーマスクリーニング用のペプチドELISAにおいて高いOD値を呈するクローンを同定し、抗BP180C末端-IgGモノクロ―ナル抗体産生ハイブリドーマの確立に成功した。得られたモノクロ―ナル抗体を活用した好塩基球上のBP180断片の検出や抗BP180-IgEモノクロ―ナル抗体の作成およびマウスへの投与実験に応用されることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
健常人と比較した際のBP患者における活性化好塩基球が増加する可能性についての結論に到達できておらず、サンプル数を増やした解析が望まれるため。またマウスに投与するための抗BP180-IgEモノクロ―ナル抗体についても完成ができていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた抗BP180C末端領域IgGモノクロ―ナル抗体を用いて活性化好塩基球上のBP180断片の同定を試みる。また、得られた抗BP180C末端領域IgGモノクロ―ナル抗体産生ハイブリドーマに遺伝子変異を誘導することで抗BP180C末端領域IgEの作成を進め、BP180ヒト化マウスへの投与実験の実施をめざす。さらに、BP患者末梢血好塩基球の活性化の程度やBP180刺激で定量される好塩基球上抗BP180-IgE抗体価と予後(治療反応性)との関連についての解析を進める。
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Causes of Carryover |
IgE化した抗BP180抗体の投与実験を実施することができなかったため。抗BP180IgG産生ハイブリドーマに対する遺伝子変異誘導によるIgE抗体産生や、マウスへの投与実験を進めることで繰越金を使用する見込みである。
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