2022 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of mechanisms for atopic dermatitis-like phenotype resulting from SREBF1 gene mutations
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22K08432
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
下村 尚子 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (50625423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 裕 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70397107)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | SREBF1 / SREBP-1 / アトピー性皮膚炎 / 連珠毛 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、事前に作製してあったSREBP-1の野生型および2種類の変異型(p.R527Hおよびp.R527C)の発現ベクター(N末端にFlag-tagを導入)を培養細胞(HEK293T)にトランスフェクションし、細胞溶解液を回収後に抗Flag抗体を用いてwestern blot(WB)法を実施した。しかしながら、予想されるほどの発現量を認めなかった。そこで、tagの数を増やし、さらに開始コドンの上流にKozak配列を導入した新たな発現ベクターを作製し、同様の過剰発現系でWB法を行った結果、野生型・変異型ともに十分な発現量を確認できた。その後、脂質の成分を除去したウシ胎児血清を用いてHEK293T細胞を培養した条件でベクターをトランスフェクションし、過去の論文に記載された手法に従ってステロール非存在下でのSREBP-1の発現をWB法で解析したが、野生型と変異型のいずれにおいてもSREBP-1のN末端の切断および細胞核内への移行を確認することができなかった。現在、予想通りの結果が得られなかった理由を慎重に検討し、さまざまな条件下での追加実験を計画している。 また、令和4年度中に患者の頭髪を電子顕微鏡で詳細に観察したところ、頭髪径が周期的に異常に細くなる連珠毛を呈していることが確認できた。さらに、抜去した成長期毛包からtotal RNAを抽出し、逆転写反応でfirst-strand cDNAを作製後にリアルタイムPCR法で毛髪に発現する複数の遺伝子の発現量を健常人と比較した結果、患者では明らかに毛ケラチン遺伝子の発現量が低下していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度中に培養細胞での発現・機能解析を完了させる予定だったが、当初の予定通りの発現を得ることができなかったために発現ベクターを新たに作製する必要性が生じた。さらに、主に血清から完全に脱脂する工程が不完全だったために予想される結果が得られなかった。したがって、研究の進捗状況はやや遅れていると評価したが、各問題を解決するための対策は適切に行っていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
血清から完全に脱脂した条件下で細胞を培養し、改めて発現ベクターをトランスフェクションして発現・機能解析を実施する。さらに、患者の皮膚組織を用いて、表皮の観察及び角化に関わる分子のタンパクレベルでの発現を検討するとともに、表皮・毛包における遺伝子発現を詳細に検討する予定である。
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