2022 Fiscal Year Research-status Report
水疱性類天疱瘡発症の新たな機序;掻破とNETosis
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22K08436
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
鶴田 大輔 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90382043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣保 翔 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 後期臨床研究医 (10571284)
廣保 葵 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (20899603)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | NETosis / 後天性表皮水疱症 / 搔破 |
Outline of Annual Research Achievements |
類天疱瘡疾患では掻破などの物理的刺激が水疱形成を誘導する可能性が示唆されるが、その機序は明らかではない。我々は、皮膚への物理的刺激により表皮ケラチノサイトがストレス応答分子を放出し、放出されたストレス応答分子が局所の好中球を活性化しNETosisを引き起こすことで水疱形成を誘導すると仮説を立て、ex vivoモデル、マウスモデル、患者標本を用いて検証する。 2022年度は、患者皮疹部にてNETosisが存在するかどうかを免疫組織化学で確認した。好中球マーカであるMPOとNETosisマーカであるシトルリン化ヒストンに対する抗体を用いて二重染色を行ったところ、類天疱瘡疾患の一つである後天性表皮水疱症の患者皮疹部にて共局在が認められた。また、今後の掻破制限実験の予備実験として、リューベック大学のDr. Ralf Ludwigより供与された病原性抗マウスコラーゲンVII抗体を用いて、後天性表皮水疱症マウスモデルを当研究室で再現した。同マウスモデルでMPOとシトルリン化ヒストンに対する二重染色を行ったところ、こちらも皮疹部にて共局在が認められた。以上より、後天性表皮水疱症ヒト患者及びモデルマウスの皮疹部にNETosisが局在することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
元々2022年度は後天性表皮水疱症モデルマウスを用いて掻破部と非掻破部の比較を行った後に、掻破制限が皮疹の抑制につながるかを調べる予定であった。しかし、共同研究者であるリューベック大学のDr. Ralf Ludwigからの病原性抗マウスコラーゲンVII抗体の供与が遅れたため、後天性表皮水疱症モデルマウスの再現が遅れた。2022年度後半に抗体を受け取り、様々な条件検討の結果、後天性表皮水疱症モデルマウスを我々の研究室で再現できたため、2023年度は動物実験を中心に行う。 動物実験が遅れたため、元々2023年度以降に行う予定であった類天疱瘡患者皮疹部でのNETosisの免疫組織化学的評価を先に行った。当初の仮説どおり、皮疹部にNETosisを確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、2023年度は後天性表皮水疱症モデルマウスを用いた動物実験を主に行う。まず、後天性表皮水疱症モデルマウスの掻破部と非掻破部を比較するため、耳と背部の皮膚サンプルを用いて両者を、HE染色、蛍光抗体直接法、免疫組織化学、RNAseqで比較する。またその後、そうは制限が後天性表皮水疱症モデルマウスの皮疹を抑制するかを調べるため、エリザベスカラーを後天性表皮水疱症モデルマウスに装着し、皮疹スコアを非装着群と経時的に比較する。また、主な皮疹部である耳などの皮膚を、HE染色、蛍光抗体直接法、免疫組織化学、RNAseqで比較する。時間的に可能であれば、2023年中に、NETosisが表皮下水疱形成を促進するかを評価するために、ex vivo凍結切片、又は三次元培養皮膚を用いた疾患モデルを確立する。
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Causes of Carryover |
先述のように、ドイツからの輸入が遅れたために研究が後ろ倒しになったため。
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