2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K08452
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高森 弘之 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (80792077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南谷 泰仁 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60451811)
保仙 直毅 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10456923)
西村 純一 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教授 (80464246)
植田 康敬 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (30533848)
藤岡 龍哉 関西医科大学, 医学部, 准教授 (70403045)
松岡 由和 関西医科大学, 医学部, 助教 (70533420)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 発作性夜間ヘモグロビン尿症 / PNH / 血液疾患 / 全ゲノム解析 / 遺伝学的系統樹解析 / 系統樹 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(Paroxysmal nocturnal hemoglobinuria: PNH)患者の単細胞レベルの全ゲノムシークエンスデータを用いた遺伝学的系統樹解析を行う。それにより臨床的なPNH発症以前の、PNHクローンの歴史を明らかにする。 前年度は、PNH患者2名の骨髄単核球を用いて単細胞由来のコロニーを作成し、それぞれのコロニーからDNAを抽出して全ゲノムシークエンスを施行した。今年度は、全ゲノムシークエンスデータを用いて、遺伝学的系統樹を作成し解析を行った。 2名の遺伝学的系統樹はそれぞれに存在しているクローンの歴史を明らかにした。 患者1は、末梢血液細胞のターゲットキャプチャーシークエンスにより、複数のPIGA遺伝子変異と複数のBCOR遺伝子変異が検出されていた。遺伝学的系統樹により、これらの遺伝子変異により生じたクローンは独立して存在していることが示された。これらの遺伝子変異により生じたクローンは、再生不良性貧血の診断後に同時期に拡大し始めていた。また既知のドライバー遺伝子変異が観察されなかったクローンも、同時期にクローン拡大していることが明らかになった。 患者2は、末梢血液細胞のターゲットキャプチャーシークエンスでPIGA遺伝子変異と染色体検査によりHMGA2遺伝子変異が同定されていた。遺伝学的系統樹によると、これらの遺伝子変異は、すべてのクローンで併存していた。そのため、PIGA遺伝子変異とHMGA2遺伝子変異が生じた順序は明らかにすることはできなかった。患者1とは異なり、これらの遺伝子変異が生じたクローンは、再生不良性貧血と診断される10年以上前から拡大し始めていることが推測された。 これらの結果を、第85回日本血液学学術集会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに研究が進捗し、第80回日本血液学会学術集会で研究成果を公表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
患者2について、ターゲットキャプチャーシークエンスで確認されたすべてのPIGA遺伝子変異を遺伝学的系統樹解析できたわけではない。現在得られている知見が、残りの遺伝子変異によるクローンでも確認できるのか検証する。残検体を用いて、単細胞由来のコロニーを再作成し、DNAを抽出する。全ゲノムシークエンスを行う前に、PIGA遺伝子やBCOR遺伝子に対して、サンガーシークエンスを施行し、目的の遺伝子変異をもつクローンを同定する。それらに対して全ゲノムシークエンスを行う。新たに得られたデータを、既存の遺伝学的系統樹と統合し解析する。
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Causes of Carryover |
追加のコロニーアッセイやDNA抽出およびシークエンスに用いる。
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Research Products
(4 results)