2023 Fiscal Year Research-status Report
成体組織に胎児期由来原始マクロファージが常在する意義の解明
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22K08456
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高橋 尚史 熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 助教 (70711000)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
成体の多くの組織には、骨髄の幹細胞から分化した単球由来マクロファージに加え、卵黄嚢や胎児肝由来マクロファージが存在する事実が明らかとなり、その意義に注目が集まっているが未だ不明の部分が多い。これら異なる由来を持つマウスマクロファージをex vivoで増幅培養し、それらの特性を比較解析している。 本年度も引き続きこの自己増殖型マクロファージの特性の比較解析を行い、胎児肝由来マクロファージ(FL)のLPS反応性は卵黄嚢由来(YS)や骨髄由来(BM)のものより高いことを見出した。これはマウス胎児初代細胞を用いた解析でも類似の報告(Lakhdari, Sci Rep, 2019)があり、改めて胎児期由来マクロファージモデルとしての特性と妥当性を示した。 YSとFLマクロファージはM-CSF非存在下の培養で、BMと比べてアポトーシス誘導が起こりにくく、特にYSは他の2種類と比べてM-CSFやIL-34の自己分泌レベルも低いことを示唆する結果も得た。さらにYSとFLマクロファージはスタウロスポリンなどアポトーシス誘導薬剤を加えても細胞死誘導がされにくいことがわかった。前年度のRNA-seqおよび今年度新たに追加したATAC-seqのデータからも、YSとFLではBMと比較してアポトーシス関連遺伝子転写レベルが低いという結果を得た。つまり、胎児期由来マクロファージは増殖能や生存能が骨髄由来マクロファージよりも高く、M-CSF低依存性やアポトーシス誘導のされにくさがそれに関連していることが示唆された。 また、ヒト腹水マクロファージについては、胎児期由来と推定される分画(HLA-DRhighCCR2low)と骨髄由来分画(HLA-DRlowCCR2high)をソーティング後、RNA-seqによる遺伝子発現の差を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題の一つであるマウス胎児期由来マクロファージ解析において、アポトーシス関連の特性に関する一定の成果を得られており、順調に進行している。また、もう一つの課題のヒト腹水マクロファージの解析にも着手できている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスマクロファージについては、引き続き増殖関連遺伝子の特性解析を進めていくとともに、マウスへのin vivo移植で定着・増殖が見られるかを評価する。また、ヒト由来腹水マクロファージについてもRNA-seqの解析を進め、骨髄由来・胎児期由来の2つの分画の特性の違いについて比較解析を進めていく予定である。 これらの成果を次年度に論文としてまとめることを目指す。
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Causes of Carryover |
全体的に実験が比較的順調に進み、消耗品などの物品の追加購入が当初の想定を下回ったため。
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