2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K08470
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
錦井 秀和 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30512834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 和寛 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 開発研究員 (10392002)
山崎 聡 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50625580)
坂本 竜弘 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60815398)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / 巨核球 / トロンボポエチン |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト造血幹細胞内の分化プログラム制御の分子基盤を1細胞レベルでの分化能評価、遺伝子発現プロファイリングにより明らかにするとともに、効率よく巨核球・血小板を供給することができるヒトMeg-biased HSCの同定及び増幅を行い、移植後の血小板減少症に対する治療応用を最終目標とし、ポリマー化学物質を用いた新規造血幹細胞培養法の確立を目指して研究を行った。特に巨核球分化・造血幹細胞増幅に必須の役割をになるトロンボポエチン(TPO)/MPLシグナルに注目し、現在臨床で用いられているトロンボポエチン受容体アゴニスト(TPO-RA)の造血幹細胞への作用を、申請者が参加した研究グループで最近樹立した新規ヒト造血幹細胞培養システム(Sakurai and Ishitsuka et al. Nature 2023)を用いて評価した。 その結果、1.ポリマー化学物質はTPOシグナルの増強作用があり、巨核球分化・造血幹細胞自己複製(増幅)の分化運命決定はポリマー濃度によって調整可能なTPO/MPL/JAK/STATシグナルによって修飾可能であることが明らかとなった。2. 現在臨床で用いられ造血幹細胞増幅作用を有すると考えられているRomiplostim・Eltronbopagと比較し、LusuturombopagのProdrugであるButyzamideはより高い造血幹細胞増幅作用を試験管内では有することが明らかとなった。また同様のシステムを用いて、炎症性サイトカイン であるTNFシグナルが造血幹細胞の自己複製時には巨核球系統への分化を誘導する因子であることを見出し、この現象は白血病骨髄内でも起きていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基礎となるヒト造血幹細胞培養システムの樹立時に用いた臍帯血・末梢血造血幹細胞の個体差が大きく、培養条件を固定するのに時間を要した。免疫不全マウスによる移植実験の場合、他の血球と比較しヒト血小板が末梢血で確認することが困難であり、ヒト造血幹細胞の評価系として限界があることも一因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 今年度で樹立したヒト造血幹細胞培養システムを用いて各TPO-RAで刺激したサンプルを用いた遺伝子発現プロファイル解析を行い、TPO-RAの種類により異なる分化・増幅パターンを示す現象の詳細を明らかにする。 2. 免疫不全マウスへの移植実験を行った後、骨髄サンプルの解析を行う。 3. TPO-RAはマウスMPLに結合しないことから、ヒトMPLの膜貫通領域をKnock inしたHuTPOR-KIマウスでの実験を開始している。免疫不全マウスを用いた異種間移植モデルでは限界がある長期的な造血幹細胞の能力・分化能評価を同マウスで行う。
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Causes of Carryover |
少額の誤差がでたため, 次年度は物品費(主に培養試薬)の購入費で調整を行う。
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