2022 Fiscal Year Research-status Report
末梢性T細胞リンパ腫非特定型のゲノム変異が微小環境に及ぼす影響と新規治療開発
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22K08479
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 光次 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20571764)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 末梢性T細胞リンパ腫 / 微小環境 / ゲノム変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、PTCL-NOSのゲノム変異で分類される集団が、どのようなクロストークを介して、PTCL-NOSの悪性度と相関する特徴的な腫瘍周囲の微小環境を形成するのか、そのメカニズムを明らかにすることである。 ①PTCL-NOSのゲノム変異と微小環境遺伝子発現変化の相関を検討: PTCL-NOS 検体を用いて、nCounterによるRNA発現解析を行った。同時にゲノム変異解析をすすめ、ゲノム変異と微小環境遺伝子発現の相関を検討し、新たな層別化スコアを作成した。PTCL-NOSの予後を規定する因子として、先行研究と同様に、微小環境中のB細胞・樹状細胞・マクロファージなどのマーカーとなる遺伝子発現プロファイルで予後が送別化され、特にB細胞・樹状細胞・マクロファージのいずれの遺伝子発現パターンにも相当しない予後不良群において、TP53変異が集積していることが判明した。また、B細胞の遺伝子発現群においては、TET2などのエピゲノムに関係する遺伝子変異を認めた。 ②PTCL-NOSの予後を規定するゲノム変異および微小環境の細胞亜集団を同定:先行研究と同様に極めて予後不良なnon-BD群中、マクロファージsignatureを持つ集団と周囲環境のsignatureが非常に乏しい集団(TP53変異が集積)に解析の焦点をあて、ゲノム異常と微小環境の関係を検証した。現在、微小環境の細胞が、腫瘍細胞とどのような位置関係で組織中に存在するのか、空間分解能が高いCODEXを用いて組織上のシングルセル解析を進めており、腫瘍細胞や微小環境細胞がどのように関わり合っているのかを解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画目標は、①PTCL-NOSのゲノム変異と微小環境遺伝子発現変化の相関を検討することであり、研究実績の概要で記載した通り、ゲノム変異と微小環境遺伝子発現の相関を検討した上で新たな層別化スコアを作成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降に以下の計画を予定している。 ② PTCL-NOSの予後を規定するゲノム変異および微小環境の細胞亜集団を同定 先行研究と同様に極めて予後不良なnon-BD群中、マクロファージsignatureを持つ集団と周囲環境のsignatureが非常に乏しい集団(TP53変異が集積)に解析の焦点をあて、ゲノム異常と微小環境の関係を検証する。現在、微小環境の細胞が、腫瘍細胞とどのような位置関係で組織中に存在するのか、空間分解能が高いCODEXを用いて組織上のシングルセル解析を進めており、腫瘍細胞や微小環境細胞がどのように関わり合っているのかを解析する。 ③ PTCL-NOSのゲノム変異が、特徴的な微小環境を形成するメカニズムを明らかにする 腫瘍組織と周囲細胞の3次元培養の構築や、ヒトの免疫環境を再構築したマウスへ異種移植することで周囲環境を再現したPTCLのモデルを樹立し、新規薬剤のスクリーニングを行う。
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