2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism of cancer cell infiltration / metastasis inhibition by direct oral anticoagulant (DOAC)
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22K08489
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
鈴木 宏治 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (70077808)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 抗凝固薬 / DOAC / 抗腫瘍効果 / 第Xa因子 / エドキサバン / PAR2 / 血管新生 / 上皮間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、脳血栓塞栓症や下肢深部静脈血栓症の予防薬として広く用いられている直接経口抗凝固薬(DOACs)について、DOACsが単に抗凝固作用だけでなく、抗腫瘍作用も有することを示し、その分子薬理学的機序を明らかにすることを目的としている。これまでの科研費助成研究(16K08633及び19K08850)において、Xa因子特異的DOACの一つEdoxaban(EDX)が、マウス下肢筋肉内に接種した非転移性大腸癌細胞Colon26の増殖を著しく抑制し、その分子機序はEDXがマウス体内の癌細胞及び癌周囲細胞のXa因子受容体PAR2の活性化を阻害し、癌細胞の増殖系シグナル伝達分子の活性化を抑制するとともに、癌細胞のアポトーシスを促進することを報告してきた(Hiramoto K, Akita N, Nishioka J, Suzuki K. TH Open, 2023; e1-e13.)。この成果に基づき、本研究では転移性B16メラノーマ細胞の浸潤・転移に及ぼすDOACの影響について解析を行うものである。初年度は、C57BL/6j雌性マウスにB16細胞を尾静脈から投与し、同日(1日目)から14日間毎日生理食塩水またはDOACを経口投与してB16細胞の臓器への転移と血中及び組織中の腫瘍転移関連因子を解析した。生理食塩水投与群、トロンビン阻害DOACのDabigatran投与群、Xa因子阻害DOACのRivaroxaban投与群及びEDX投与群について比較した結果、生理食塩水投与群では全身の臓器組織にB16細胞の著しい転移が認められたが、DOAC投与群の中でも特にEDX投与群には強い転移抑制作用が認められた。現在、生理食塩水投与群とEDX投与群におけるB1細胞転移臓器における炎症関連因子、血管新生関連因子、上皮間葉転換(EMT)関連因子の免疫組織化学的解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載のように、これまで経口投与DOACがB16メラノーマ細胞の生体臓器への転移と血中・組織中の癌細胞転移関連因子の発現に及ぼす影響を解析し、生理食塩水投与群では全身の臓器組織にB16細胞の著しい転移がみられたが、3種のDOACの中で特にEDX投与群でB16細胞の転移が抑制されることを認めた。現在、血中と各臓器における転移関連因子(PAR2、IL-6、MMP-2、MMP-9、TGF-β、SMAD2,3など)、上皮間葉転換関連因子(vimentin、fibronectin、Snailなど)、血管新生・浸潤関連因子(E-selectin、E-cadherinなど)を解析している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況に記載のように、B16 メラノーマ細胞のマウスの各臓器(肺、空腸、結腸、肝臓、卵巣、腸間膜リンパ節、脳の線条体と海馬など)への浸潤・転移に対して、日常診療に用いられている3種の作用機序の異なる経口投与抗凝固薬(DOAC)の抑制効果を解析した結果、Xa因子特異的阻害薬であるEDXがB16細胞の生体臓器への浸潤転移を有意に強く抑制することを認めた。現在、EDXによるB16細胞の特に肺組織への浸潤・転移の抑制機序を解析するため、対照とする生理食塩水投与群の肺組織とEDX投与群の肺組織における腫瘍転移関連因子(PAR2、IL-6、MMP-2、MMP-9、TGF-β、TGFβ-RI:ALK5、SMAD2,3,4など)、腫瘍血管新生・浸潤関連因子(TM、CX3CR1、VEGFR1、E-selectin、L-selectin、Robo4、Claudin 5、E-cadherinなど)、上皮間葉転換(EMT)関連因子 (vimentin、fibronectin、Snail、Wnt3a、β-catenin、ZEB1など)などの発現量をWestern blotting法、ELISA法、免疫組織化学的方法などによる解析を進めている。今後、DOACの一つEDXの抗腫瘍作用がXa因子受容体のPAR2を介するものか、あるいはトロンビン受容体のPAR1の関与もあるのかどうかについて、PAR2欠損マウス並びにPAR1欠損マウスを用いてB16細胞の浸潤転移の違いについても解析を行いたいと考えている。 なお、現時点までの研究成果は、2024年6月に金沢市で開催される第46回日本血栓止血学会学術集会で発表する予定である。引き続き、学術論文として発表する予定である。
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Causes of Carryover |
支出費目のその他に計画していた英文校正料が予定より高かったので、次年度使用額に約4万円の支出が生じてしまいました。次年度はこの点を配慮して、使用計画を立てます。
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