2022 Fiscal Year Research-status Report
新規エピジェネティクス制御化合物による白血病治療法の開発
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22K08491
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
小迫 知弘 福岡大学, 薬学部, 准教授 (40398300)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ATL / エピジェネティック |
Outline of Annual Research Achievements |
成人T細胞白血病(ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の長期潜伏後に発症する。ATLは宿主の免疫低下やHTLV-1感染細胞の遺伝子異常に加え、ヒストンのメチル化などのエピジェネティクスと関連する予後不良の悪性疾患である。ヒストン脱メチル化酵素およびがん化の促進因子であるSIRT7に特異的な薬剤に関する報告はない。そこで本研究では、新規エピジェネティクス制御化合物のATLをはじめとする白血病の細胞増殖抑制効果および抗腫瘍効果を検証することにより、それらのATLおよび白血病治療応用への可能性を検討する。 ヒストン脱メチル化酵素(KDM)はメチル化されたヒストンリシン残基の脱メチル化を触媒する酵素でで、フラビン依存性のLSD1とJumonji C-domeinを含むKDM5CなどのJHDMの2つに分類される。PROTAC は、標的とすべきタンパク質への結合性を有する分子と、タンパク質分解酵素であるユビキチン E3 リガーゼへの結合性を有する低分子を連結した、標的タンパク質の分解を誘導する化合物の一種である。本研究において、新規KDM5C阻害剤およびPROTAC化合物はATL関連細胞株の細胞増殖を抑制し、アポトーシスによる細胞死を誘導した。一方、新規SIRT7阻害剤合成の進捗が遅れている。 今後、エピジェネティックを標的した薬剤およびそのPROTAC化合物のATL細胞における検討を行い、エピジェネティック制御薬剤の臨床応用に対する可能性を探索したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標①KDM阻害剤と目標②SIRT7阻害剤の2つの薬剤の検討を目標としている。 SIRT7阻害剤に関しては合成が遅れているが、新規KDM5C阻害剤およびそのPROTAC化合物のin vitroでの検証が進み、細胞増殖抑制効果を確認できている。 今後は、オートファジーを含む細胞死のメカニズム、患者由来細胞を用いたex vivoでの評価に進む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
目標①新規KDM5C阻害剤およびそのPROTAC化合物新規SIRT7阻害剤:in vitroにおける細胞死のメカニズムを探索する。患者細胞を用いたex vivoの細胞増殖抑制効果を検証する。更にATLモデルマウスを用いたin vivoにおいて、薬剤の抗腫瘍効果を検証する。 目標②新規SIRT7阻害剤:新規SIRT7阻害剤の合成を急ぐ。そこで、SIRT7阻害剤合成後の更なる評価系の充実に向けてエピジェネティック制御薬剤のin vitroでの評価を行う。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大のため、国際学会での発表が不可能であったため次年度使用が生じた。 今年度は、オンライン開催の国際学会を含め、国内外の学会で発表する予定であるため学会参加及び登録費等や旅費で使用する。
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Research Products
(3 results)