2023 Fiscal Year Research-status Report
Exploration and evaluation of low molecular weight thrombolytic agents that induce endogenous uPA expression
Project/Area Number |
22K08494
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小泉 幸央 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (80353465)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩月 正人 北里大学, 感染制御科学府, 教授 (70353464)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 血栓溶解剤 / uPA / 血管内皮細胞 / 天然化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
血栓溶解療法にはプラスミノーゲン活性化因子(PA)であるtPAやuPAといった酵素製剤が使用されているのに対し、低分子型の血栓溶解剤の創薬は進んでいない。これまでに申請者は血栓溶解を促進する低分子化合物として糸状菌由来の環状ペプチドを見出し、血球細胞のMAPKシグナルの活性化を介した内在性のuPA発現を誘導させ、血栓溶解を促進させるというこれまでの酵素製剤とは異なる作用メカニズムであることを明らかにしてきた。本研究課題では、血栓溶解に主要な働きを示す血管内皮細胞に対する環状ペプチドの効果を評価すると共に、新規な低分子型血栓溶解剤の探索研究を進める。本研究課題の遂行により、革新的な血栓溶解剤の創薬に貢献することが期待できる。 2023年度は、2022年度に研究分担者である北里大学の岩月博士から提供を受けた大村天然化合物ライブラリーからヒト臍帯静脈血管内皮細胞HUVECのPA活性を上昇する化合物として見出したIkarugamycin類やTunicamycinの詳細な作用機序の解析を進めた。これらの化合物はsiRNAや中和抗体を用いた実験から、HUVECのuPA活性を増加させていることがわかった。RT-qPCRからこれらの化合物はuPA遺伝子(PLAU)の発現上昇を誘導することがわかった。また、Ikarugamycin類により増加したuPA活性はHUVEC表面に保持されていたのに対し、Tunicamycinにより増加したuPA活性は培養上清に検出された。さらに、これらの化合物はHUVECを介した血清中のプラスミン活性を増加させることもわかった。 また2023年度は、環状ペプチド化合物Malformin A1の類縁体によるHUVECのPA活性上昇メカニズムの解析を進めており、さらに、秋田県内の土壌から分離した放線菌の培養抽出液から見出した線溶活性化物質として分子量3万以上のPA様酵素を見出し、単離・精製を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は当初の予定通り、化合物ライブラリーのスクリーニングから見出した天然化合物や環状ペプチド化合物の作用機序解析が順調に進展している。また、秋田微生物ライブラリーから放線菌が生産するPA様酵素も見いだしている。 しかし、研究の進捗の遅れが若干見られる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は当初の計画通り、環状ペプチド化合物やスクリーニングで見出した天然化合物によるHUVECのuPA発現誘導における作用機序の解析や線溶活性効果の検証を進め、動物レベルでの線溶活性化試験を進めていく。また、秋田微生物ライブラリーから見出した放線菌が生産するPA様酵素の単離・精製も進めていく。
|
Causes of Carryover |
2023年度は、研究代表者が所属している講座内で数名の教員の移動があった結果、講義等の大学業務のエフォート増加により、研究に割ける時間が減ってしまったため、若干研究に遅れが生じており、次年度使用額が生じた。
|