2022 Fiscal Year Research-status Report
Therapeutic potential of novel antibody-oligonucleotide conjugate for intractable B-cell lymphomas
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22K08497
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
長尾 俊景 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (10622798)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 難治性B細胞腫瘍 / 細胞内浸透抗体 / S化CpG-ODN / 抗体-オリゴヌクレオチド複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度(令和4年度)の研究内容の当初の目標としては、本研究のコンセプトである、抗体-S化CpG-ODN複合体の実験系の検証と確立であった。すなわち、最終的な目標はB細胞リンパ腫の病態特異的細胞内蛋白に対する抗体に、S化CpG-ODN複合体をconjugateし、細胞内への浸透性を付与した抗体-オリゴヌクレオチド複合体(AOC)を作成し、その抗腫瘍効果(細胞内TLR9を通じた)を検証することであるが、まずは同様の構造を持ち、比較的描出が容易な細胞内蛋白(細胞骨格蛋白など)を標的としたモデルAOCを作成し、その細胞内分布や局在性を確認することであった。 実績:代表的な細胞骨格蛋白であるβ-actin(あるいはα-tubulin)に対するマウスモノクローナル抗体に、商業ベースでオーダー可能な蛍光色素標識S化ODNを、アフィニティー法(ストレプトアビジン-ビオチン)を用いてconjugateした後、当該AOCを純化し、試験的なモデル試薬とした。品質や濃度の安定が困難であったが、最終的に様々な細胞株(上皮系悪性腫瘍、造血器腫瘍、293T細胞等)への投与・インキュベートを試み、十分な洗浄の後フローサイトメトリー法を用いて蛍光色素の細胞内分布について評価した。しかし結果的に陽性コントロールと比較して蛍光色素の細胞内信号強度は明らかに低く、一方蛍光色素標識S化ODNのみによる細胞処理の場合(非特異的反応)と比較しても、有意差を見出せなかった。これらの結果が検証実験の方法や、試薬の作成過程における技術面での複合的な問題か、あるいは当該研究のコンセプトそのものに関連した事象か現時点では不明である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上に記載したように、コンセプトに沿った試験的な実験系の確立の時点で、技術的にクリアすべき課題が多く生じており、当初の計画に沿った次の段階に進む前に、詳細な条件検討が必要な状況である。その課題を構成する具体的な要因としては、1)細胞内浸透抗体プラットフォーム自体の再現性・不確実性・不安定性の問題、2)使用する抗体、CpG配列とその選択・組み合わせ等に依存する問題、3)conjugationや純化・精製・保存に関する問題、4)試薬として細胞を書類する段階での量・時間・投与法など、方法論に関する問題、5)その他あるいは複合的な問題、等が挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記した検討の必要な要因の内、本研究内で検証・検討が可能なのは主に2)3)4)5)であり、今後これら要因について順次効率性にも留意しながら条件検討、再試行を進める予定である。 一方で、使用可能な予算・エフォート・研究期間には限界があり、その進捗の状況、経過によっては、当初のコンセプトから派生したモデル(より広く、特定の抗体とTLRリガンドをconjugateする)での検討を並行して進める、あるいは選択的に注力するなど、今後の研究計画を適切に修正する必要が生じる可能性もある。
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Causes of Carryover |
当年度使用分のうち、10,000円以下の残額(5,426円)については次年度使用額とし、主に実験用器材(消耗品などの物品)の購入に充てる。
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