2022 Fiscal Year Research-status Report
Generation of RSK2/AKT/S6K tripple inhibitor for mature lymphoid malignancies
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22K08512
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
黒田 純也 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70433258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 信介 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40883088)
塚本 拓 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50825049)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | RSK2 / PDPK1 / AKT / S6K / 悪性リンパ腫 / 多発性骨髄腫 / 創薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では悪性リンパ腫(malignant lymphoma: ML)、多発性骨髄腫(multiple myeloma: MM)などの成熟リンパ系腫瘍における難治症例を「包括的」に克服しうる高汎用性・低侵襲な治療戦略の開発を目指している。すなわち、PDPK1の下流における細胞シグナルメディエーターであるRSK2,AKT,S6に注目し、その同時制御によって成熟リンパ系腫瘍に対して、広く抗腫瘍効果を発揮し得る5H-pyrrolo[2,3-d]pyrimidin-6(7H)-one誘導体の選定、薬理試験、詳細な作用メカニズムの解析、毒性試験を進め、将来の臨床開発への発展のための理論的基盤を確立することに挑んでいる。 2022年度は、MLにおける各種の病型別のPDPK1、RSK2、AKTの活性化状態を病理組織検体300検体以上において検討した。その結果、多くの病型における腫瘍細胞において、ほぼ普遍的にRSK2が活性化状態にあること、その程度は様々であること、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫では、その高度活性化が予後不良と関連することが明らかになった。一方、AKTの活性化状態は、症例間でのばらつきが大きいうえ、予後との相関は認めなかった。 5H-pyrrolo[2,3-d]pyrimidin-6(7H)-one誘導体の選定においては、複数の候補化合物の分子効果と抗腫瘍効果について、各種のB細胞性リンパ腫由来の細胞株(8株)、MM由来細胞株(11株)、更には患者由来腫瘍細胞(52症例)を用いて検討し、最有力候補化合物Aの同定に至った。化合物Aはin vitroにおいて5uM以下で、RSK2、AKT, S6Kの下流エフェクター分子へのシグナル伝達を阻害し、強力な細胞増殖抑制効果を発揮する。現在、その分子効果の更なる詳細、毒性試験、in vivo効果を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記載した通り、目標の化合物候補の選定に成功し、研究は化合物の臨床応用に向けた毒性試験、in vivo効果の検討段階に進展していることから、概ね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
病型別 RSK2, AKT, S6K活性化の臨床的意義の明確化においては、成熟リンパ系腫瘍各病型において、いまだ着手できていない病型(特にT細胞性リンパ腫)があるため、更なる対象疾患の拡大の可能性の検討のため、病理学的検討の対象を拡大する。 化合物Aの分子薬理学的効果には未解明の点が残る。このため、その効果発現機序について、網羅的遺伝子発現解析などによるマルチオミクス解析を進め、効果発現機序の解明に基づく感受性予測バイオマーカーの同定、最適な併用化学療法剤の選定のための理論的基盤の獲得を目指す。また、化合物Aの腫瘍免疫環境に対する効果は現時点で未解明であり、T細胞、骨髄由来抑制系細胞への効果を検討する。 疾患モデルマウスにおける効果発現についての検討も継続する。
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