2022 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集を利用したKRAS変異骨髄腫に対する新規治療標的薬の探索
Project/Area Number |
22K08516
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
花村 一朗 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70440740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 明伸 愛知医科大学, 医学部, 講師 (30438048)
シバスンダラン カルナン 愛知医科大学, 医学部, 講師 (30557096)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 骨髄腫 / RAS / ゲノム編集 / 阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
CRISPR-Cas9ゲノム編集術を用いて、ヒト骨髄腫細胞株Sachiの野生型KRASを、KRAS G12A変異などに改変した細胞クローンを独自に樹立した。活性型KRAS変異改変細胞とKRAS野生型の親細胞とで、MTTアッセイやコロニー形成アッセイを行い、活性型KRAS変異改変細胞で細胞増殖能やコロニー形成能が亢進していることを確認した。活性型KRAS変異改変細胞とKRAS野生型の親細胞とで、cDNAマイクロアレイとGSEA(gene set enrichment analysis)を行い、両者間で有意な発現変化を認める遺伝子を100以上特定した。これには、未報告のRAS関連遺伝子も多く含まれていた。特に、骨髄腫細胞の生存や増殖に関連すると予想される未報告分子の発現レベルの差は、RT-PCRやwestern blotにより検証した。さらに、阻害剤ライブラリーを用いて、活性型KRAS変異改変細胞に対して、より阻害度合いが高い候補化合物を、複数特定した。 このように、本年度は、骨髄腫における新規KRAS関連分子のほか、KRAS変異骨髄腫に効果が期待できる候補阻害剤が特定できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨髄腫における新規のKRAS関連分子のほか、KRAS変異骨髄腫に効果が期待できる候補阻害剤が特定できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
阻害剤ライブラリーにより特定した候補阻害剤の効果を、複数の骨髄腫細胞株を用いて、KRAS変異のほか、NRAS変異、BRAF変異の有無との相関を検討する。KRAS変異骨髄腫細胞に対する殺細胞効果が、高いと推定できる候補阻害剤については、その薬理機序や、他の抗骨髄腫薬との併用効果を検討する。 同時に、活性型KRAS変異改変細胞とKRAS野生型の親細胞間のcDNAマイクロアレイ遺伝子発現解析から、骨髄腫細胞におけるKRASネットワークを想定し、KRASネットワーク阻害に効果的な化合物も探索する。
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Causes of Carryover |
・次年度使用額が生じた理由 当初の想定よりも、阻害剤ライブラリーによるスクリーニングで、候補阻害剤が多く見つかり、個々の阻害剤の効果の検証に時間を要し、患者検体での検証などが年度内に実施できなかったため。 ・使用計画 翌年度は、特定できた候補阻害剤のうち、効果がより大きいものに注力し、阻害機序の解析や、患者検体での検証などを推し進める予定である。
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