2022 Fiscal Year Research-status Report
劇症型間質性肺炎の新規治療開発に向けた免疫病原性肺マクロファージの基盤的研究
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22K08526
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
有馬 雅史 獨協医科大学, 医学部, 教授 (00202763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉沢 和宏 獨協医科大学, 医学部, 教授 (30282479)
大和田 高義 獨協医科大学, 医学部, 講師 (30456016)
田中 彩絵 獨協医科大学, 医学部, 助教 (30743067)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 間質性肺炎 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
膠原病に伴う肺疾患は生命予後という点から見て最も重要な合併症である.特に抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎患者で併発する急速進行性間質性肺炎(RP-ILD)は予後不良であり,治療法は確立していない.重症RP-ILDの病態にはマクロファージ活性化症候群に類似した様々な免疫系細胞の異常活性化とサイトカインストームが深く関与すると考えられるが,その発症と増悪機序は不明である.本研究はマクロファージの2本鎖RNA編集酵素ADAR1-RNAセンサーMDA5機能軸異常が劇症型RP-ILDの病態形成にどのように作用し,どのような影響を及ぼしているのかということを当該分野で解明されるべき重要な学術的意義として問う.2022年度は野生型マウスおよびマクロファージ特異的にADAR1を欠損させたLys-Adar1-cKOマウスを用いて難治性ILDモデル作製した.自己免疫性劇症型肺炎モデルとしてTLR7刺激薬剤Imiquimodの投与により自己免疫疾患モデル成立後に劇症型肺炎を誘導するために長鎖PolyI:C(2本鎖RNA)とresiquimodを経気道的に投与した.解析結果は以下の通りである.(1)組織学的解析;Adar1-cKOマウスはWTマウスと比較して肺組織において著しい細胞浸潤を認めた. (2)肺内細胞解析:マウスの肺を酵素処理後に組織内細胞集団を純化抽出し,フローサイトメトリー法で解析したところ, WTマウスと比較してcKOマウスではマクロファージの増加を認め, 特に単球由来肺胞マクロファージの増加を認めた. また好中球とCD69陽性CD4T細胞の増加を認め,マクロファージ細胞内ADAR1の欠損は自己免疫性ILDの重症化を誘導することを見出した.以上より, ILDの発症にはマクロファージが関与し、その機能亢進に対してADAR1は抑制的機能により制御すると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子改変マウスの産出が予想より少なかったため、解析に使用するマウスの確保が困難であった.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は劇症型ILDの基盤的分子病態メカニズムの探索的解明を目的として各マウスのILDモデルの肺より各肺マクロファージ(肺胞・間質)を純化抽出し、RNAシークエンス法で解析し,細胞特異的な発現変動遺伝子のプロファイル解析とパスウエイ解析および遺伝子・細胞レベルでクラスタリング解析を行う.以上の解析データの統合的な多変量解析により,マクロファージのADAR1が直接・間接的に産生調節するmicroRNAやmRNAを探索し,肺炎の難治化・劇症化関連遺伝子の発現の特徴を明らかにしてマクロファージやADAR1の病理的意義を推定する.
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Research Products
(1 results)