2022 Fiscal Year Research-status Report
自己免疫疾患の病変部位における自己抗体の産生機構の解明
Project/Area Number |
22K08528
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
竹下 勝 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (10571135)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 抗ARS抗体症候群 / シェーグレン症候群 / 自己抗体 / 肺胞洗浄液 / 唾液腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は2疾患を対象にして自己抗体が出現する機構の解明を目指すものである。1つは抗Jo-1抗体、抗PL-7抗体などの別々の自己抗体が出現する一方、共通の筋/肺/皮膚症状を呈する抗ARS抗体症候群であり、もう1つは抗SSA抗体と抗セントロメア抗体という背景病態が異なる2系統の自己抗体が出現するシェーグレン症候群である。本年度の進捗は以下の通り。 抗ARS抗体症候群においては、肺胞洗浄液検体6例と、偶然入手した唾液腺生検検体2例を収集し解析した。両者とも病変部位に浸潤した形質細胞をシングルセルソートし、各細胞の抗体の可変領域をシークエンスし、発現ベクターに組み込むことで、病変部位で作られていた抗体を実験室で再現した。計200種類以上の抗体を作製し、その反応性を調べ、抗Jo-1抗体、抗EJ抗体、抗Ro52抗体等の自己抗体が相当の割合で含まれている事を確認した。更にそれらの抗体のエピトープの解析、体細胞超変異数の解析を進め、論文化を進めている。また、少数例ながら筋生検検体の収集も進めている。 シェーグレン症候群については、唾液腺生検検体を20例以上を収集し、組織を細切、コラゲナーゼ処理を行い、リンパ球と唾液腺上皮細胞をセルソートし、chromium controllerによるシングルセル解析を実施した。同疾患内で抗SSA抗体と抗セントロメア抗体という異なる自己抗体を持つ2群が存在することを考慮し、それぞれの抗体を持つ症例、両方を持つ症例、比較対象としての非シェーグレン症候群症例を一定数含めて収集した。引き続き解析を進めていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りであった。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画通りに組織検体の収集、そして一部検体の解析を進められており、引き続き精力的に解析を進める。自己免疫疾患の病変組織検体の入手機会は非常に限られるものがあるため、計画に無い疾患や組織であっても、貴重な組織検体を入手できる機会があれば積極的に収集し解析対象としていきたい。
|
Causes of Carryover |
既存の解析キットと消耗品を有効活用する事で費用を抑えることができ、次年度使用額となった。その部分は2023年度以降により精力的に解析を進めることに使用する。
|