2023 Fiscal Year Research-status Report
家族性地中海熱の病態における免疫老化の意義を明らかにする研究
Project/Area Number |
22K08544
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
古賀 智裕 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (90537284)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦野 健 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (70293701)
田中 義正 長崎大学, 先端創薬イノベーションセンター, 教授 (90280700)
川上 純 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (90325639)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 家族性地中海熱 / 免疫老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
家族性地中海熱(FMF)は、周期性発熱、関節炎、漿膜炎を特徴とする自己炎症疾患であり、地中海熱(MEFV)遺伝子の変異が病態に重要な役割を果たしている。これまでの研究では、遺伝的要因の他に、加齢に伴う免疫の老化が日本人FMF患者の病態に影響を及ぼす可能性が示唆されていたが、詳細なメカニズムは解明されていなかった。本研究では、免疫老化がFMFの病態にどのように影響を与えるかを明らかにすることを目的としている。具体的には、MEFV遺伝子ノックインマウスモデルと臨床データが統合されたFMF患者レジストリを用いて、病態発生のメカニズムを探索する。 研究代表者および研究協力者(吉浦)は、FMFモデルマウスを用いて、発症および病態進展における免疫老化の影響を調べた。低週齢および老齢マウスの腹腔内マクロファージを対象に、インフラマソーム刺激後のシングルセルRNA-seq解析とDNAメチル化解析を行い、加齢変化によるDNA損傷を含めた生体内の現象がインフラマソームの活性化に与える影響を検討した。研究代表者と研究協力者(右田、川上)は、FMF患者のMEFV遺伝子バリアント、重症度、病型と免疫老化との関連性について研究を進めた。FMF患者症例レジストリの拡充を行い、発症年齢別の活性型IL-18レベルを測定するため、独自のELISA法を開発した。 本研究により、FMFの病態における免疫老化の役割について新たな知見が得られ、将来の治療法開発に向けた基盤が築かれた。特に、高齢MEFV遺伝子M694Iノックインマウスにおけるインフラマソーム活性化の過程においてcytotoxicやIFNなどのシグネチャが相対的に高い点が示された。この結果は、加齢と自己炎症疾患との関連性を示唆するものであり、治療法の開発において重要な指標となる可能性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の成果として得られたモデルマウスを用いたRNA-seq解析の結果に加え、今年度は単球におけるDNAメチル化解析の結果も得られた。また、臨床レジストリの拡充が進んでおり、FMF患者のMEFV遺伝子バリアント、重症度、および病型と免疫老化との関連に関する研究が進展している。さらに、発症年齢別のFMF患者における血清中の活性型IL-1β、活性型IL-18の測定に関する研究も発展が見込まれる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、FMFモデルマウスを用いて、FMFの発症や病態進展に寄与する免疫老化に関連する分子群の同定を進める。この分析は、既存のバリアントに加えて他のバリアント(MERF exon2 E148Q)にも拡大し、in vivoならびにin vitroの実験による機能解析を予定している。 また、FMF患者のMEFV遺伝子バリアント、重症度、および病型と免疫老化との関連については、FMFの臨床情報を前向きおよび後向きに詳細に収集したレジストリを活用し、FMFモデルマウスで得られた知見を基に、病型分類、治療反応性、アミロイドーシス合併例と免疫老化との関連を明らかにする。発症年齢別のFMF患者における血清中の活性型IL-1β、活性型IL-18の測定に関しては、既に確立された独自のELISA法を用いて、FMF血清バンクの残余検体と新規登録患者からカスパーゼで切断された断端を認識する活性型のIL-1βと活性型IL-18を検出し、発症年齢別に準定量評価を行い、FMFにおけるインフラメージングの関与を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:既存の試薬の活用により、予定していたコストを削減することが可能となった。この結果、予算の有効活用が図られ、昨年度に計画された試薬購入予算からの削減分が余剰として発生した。 使用計画:次年度の予算においては、この余剰分を主に消耗品購入に充てる計画である。具体的には、実験の進行に必要不可欠な消耗品の補充、および実験で頻繁に使用される試薬の追加購入に使用される。この計画により、研究の連続性を保ちつつ、資源の有効活用が可能となり、さらなる研究の発展に寄与することが期待される。
|
-
-
[Journal Article] Identification of risk factors for elevated serum IgG4 levels in subjects in a large-scale health checkup cohort study.2023
Author(s)
Tsuji Y, Koga T, Nonaka F, Nobusue K, Kawashiri SY, Yamanashi H, Maeda T, Arima K, Aoyagi K, Takahashi M, Kawaguchi S, Matsuda F, Fujii H, Kawano M, Nakamura H, Kawakami A, Tamai M.
-
Journal Title
Front Immunol. 2023 Mar 8;14:1124417.
Volume: 14
Pages: 1124417
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-