2023 Fiscal Year Research-status Report
好中球活性化に着目した強皮症合併肺高血圧症の早期診断・治療標的の包括的同定と展開
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22K08545
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
井川 敬 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (80782581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 聡司 長崎大学, 病院(医学系), 教授 (10336159)
江口 正倫 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (70585405)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / 血小板マイクロパーティクル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では血小板マイクロパーティクル(PDMP)の機能解析を行うことで、強皮症(SSc)に合併した肺高血圧症(SSc-PH)の病態メカニズムを明らかにして、新規サロゲートマーカー及び治療標的としての活用の可能性を追求することを目的とする。肺高血圧症を疑いカテーテル検査を受けた患者について、肺高血圧症合併強皮症患者と肺高血圧症非合併強皮症患者に分けて、カテーテル血および末梢血サンプルの収集、蓄積を行っている。本年度もリウマチ膠原病内科、循環器内科よりサンプルの収集を引き続き行うことができている。一部の患者生体サンプルを用いてELISAによるPDMP(血小板マイクロパーティクル)の定量を行い、繰り返し適切な条件設定を行い、フローサイトメーターによるPDMP数の解析を進めている。また学会参加により強皮症関連肺高血圧症、PDMP解析を含めた実験手法についての最新の知見の収集を行った。ELISAによるPDMPの定量、フローサイトメーターによるPDMP数の解析の手技は安定してきている。また健常者対照群と比較して特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)患者では末梢静脈血におけるPDMPの定量、濃度が高いという報告があった。SSc-PHと病態は異なるが、本研究において、対象は健常人、PH非合併SSc、PH合併SScとしていたが、加えてIPAH患者を含めることも検討しており、こちらもサンプル収集にとりかかっている。また肺高血圧の診断基準が平均肺動脈圧 25mmHgから20mmHgに変更される可能性があり、この範囲に入る患者も検体に含めていくか、検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
肺高血圧症は希少疾患にて、研究をすすめるにあたり、必要とする十分なサンプル数(患者数)を確保するためには、院内のみならず院外からの患者紹介が必須となる。しかし長期にわたるコロナ禍の影響で院内外からの患者の紹介控えや受診控え、また肺高血圧症を強く疑われるカテーテル検査適応患者の検査控え(延期や中止を希望される)も多い。コロナがある程度落ち着きつつある現在もその傾向が続いているため、サンプル採取、蓄積が遅れている。また同様にコロナ禍の影響で、マウス、試薬などの流通が滞っており、購入、納入が大幅に遅延しており、動物実験をすすめられていない。
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Strategy for Future Research Activity |
最も重要なヒト生体サンプル数(患者数)の確保を進めていく。現在、肺高血圧症を疑わせる患者の紹介を積極的にしていただけるように院外施設、院内の他診療科(当科含め循環器内科、皮膚科、呼吸器内科など)に改めてお願いしている。院外施設に対しては、直接またはリモートにて研究概要の説明を定期的に行っている。また研究に必要な動物や試薬の入手遅延について、他の複数のメーカー、施設を選定して購入依頼をかけている。また肺動脈性肺高血圧症の基準が平均肺動脈圧 25mmHgから20mmHgに引き下げられる可能性があり、この範囲にある患者も今後検体に含めていくかについて検討している。
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Causes of Carryover |
肺高血圧症が希少疾患であることに加えて、長期にわたるコロナ禍の影響でサンプル採取、蓄積が大幅に不足して、ヒト検体を用いた解析時期が遅延しており、そのために用いる試薬、PDMP計測ELISA機器、FCM用抗体などの試薬・物品購入を今年度は控えた。また同様にコロナ禍の影響で、マウス、動物サンプル用試薬などの流通が滞り、それらにあてる予定の費用を使用しなかった。及び最新知見を得るための海外学会参加ができなかった。院内外への患者の積極的な紹介を促す声かけ、またコロナ禍の収束傾向により、紹介患者が少しずつ戻りつつあり、ヒトサンプルの蓄積数が増えてきているため、次年度はその解析を増やしていく。ヒトサンプル由来のPDMP抽出効率をあがってきており、更に安定してPDMP抽出を行えるようになれば、不死化ヒト肺動脈血管内皮細胞(HPAEC)を購入して、患者由来のPDMPによる刺激、培養実験を行い、そのために細胞株購入を行う予定。また引き続き動物(マウス)購入についてメーカー、施設に強く依頼をかけており、入手でき次第、動物実験を開始する。
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