2022 Fiscal Year Research-status Report
自己炎症のメカニズムに立脚した成人スチル病の分子病態の解明
Project/Area Number |
22K08547
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
浅野 智之 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (20644115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
右田 清志 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60264214)
古賀 智裕 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (90537284)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 成人スチル病 / インフラマソーム / サイトカイン / カスパーゼ1 / IL-1β / IL-18 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人スチル病(ASD)は、難治性の自己炎症性疾患で、自然免疫系の活性化が病態の中心にあると考えられているが、その発症メカニズムは解明されていない。自己炎症疾患の病態にはインフラマソームが関与しているが、ASDにおいてもNLRP3インフラマソーム、カスパーゼ1の活性化で生じる活性型IL-1β/IL-18がサイトカインカスケードの中心となり、自己炎症が誘導されることが知られている。我々はこれまでASD患者の詳細なゲノム解析を行い、発症リスクとなるHLAアリル、インフラマソーム関連遺伝子(MEFV遺伝子)を同定し、これら遺伝要因で重症度・病型が規定されることを見出し)、ゲノム異常を有する一部の症例にコルヒチンが有効であることも報告した。さらにTNF-α、GM-CSFなどASD関連サイトカイン/蛋白により、NLRP3インフラマソームが活性化され活性型IL-1βが産生されることを報告した。これらを踏まえ、我々は健常人におけるmyeloid系細胞(ヒト末梢血単核級細胞)のインフラマソームを介したIL-1βの産生が、アナフィラトキシンであるC5aにより誘導されるか検討した。その結果、C5a単独で成熟型IL-1βは誘導されることが判明し、さらにFACSで活性型カスパーゼ1が誘導されることを見出した。既報ではC5aとLPS、及びC5aとMSU刺激でそれぞれIL-1βが誘導されることは知られているため、新規性があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ASD以外に健常人におけるカスパーゼ測定に時間をやや要した。今後はin vitroの実験系についてトライしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ASD患者血清を用い、サイトカインマルチプレックスアレーにて健常人と比べて特異的に上昇しているサイトカイン・ケモカイン、免疫チェックポイント分子を同定する。また、インフラマソーム活性化に伴い、分泌される活性型IL-1βと活性型カスパーゼ1をASD患者の血清で測定する。また、今回得られた知見に関しては積極的に学会発表を行なっていく。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染蔓延の影響により現地での学会参加などが難しく、出張旅費が多く発生しなかった。さらに同理由につき臨床業務が過剰となり研究時間が十分に確保できなかったため、残余が生じた。残額は次年度に繰越し、物品購入、出張旅費等に充てる予定である。
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