2022 Fiscal Year Research-status Report
間葉系組織からの骨芽細胞分化に着目した強皮症石灰沈着症の機序解明と治療標的探索
Project/Area Number |
22K08554
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
白井 悠一郎 日本医科大学, 医学部, 講師 (70528801)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 強皮症 / 石灰沈着症 / 骨芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、全身性強皮症における異所性の石灰沈着症の機序解明を目的としている。今年度は2回、石灰沈着症を有する患者から石灰沈着が付着している組織の切除検体を採取した。検体摘出時、組織の断面からスタンプ標本を作製したところ、アリザリンレッドSで染色され、リン酸カルシウム成分であることを確認した。また、パラフィン標本を作製し、HE染色したところ、ヘマトキシリン陽性の結晶の近傍に、小型の単核球が集簇しており、免疫染色にて、異所性に骨芽細胞様細胞が軟部組織中に出現していることを確認した。また、この組織は摘出後直ちに培養し、石灰化を自発的に産生する細胞群の増殖をさせ、一部は培養を残し、残りの大部分は保存している。この培養細胞からは、今後mRNAを抽出し、網羅的遺伝子解析を行う予定である。これは最終的にex vivoで薬剤投与実験に使用する。臨床現場で全身性強皮症の石灰沈着症に対する治療薬として使用されているジルチアゼム、プロベネシド、ミノサイクリン、コルヒチンの4つを購入した。使用薬剤は、石灰沈着組織の培養系に濃度をふって添加し、①アリザリンレッドS染色の程度、②ALP活性、③RNA seqを行うが、それに先立ち、あらかじめ間葉系幹細胞からの骨芽細胞誘導系でこれら評価法の条件検討を行っている。間葉系幹細胞も3種類の株を使用し、骨芽細胞誘導の至適日数の条件検討を行っている。薬剤の細胞毒性検証、至適濃度条件検討も行っている。この条件に基づいて検体を使用して解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に必要なex vivo検体は、症例が少なく、手術を必要とするため、そのような症例の組織を得るのに時間を要してしまった。しかし、摘出は年度終わりころに済んでおり、必要な試薬等もそろえてある。来年度解析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
検体摘出時は、石灰沈着を伴う組織と伴わない組織の2群に分けて採取する。各部位からmRNAを抽出してRNA seqで遺伝子発現レベルを比較する。また、検体の培養系を設定し、治療薬を添加して石灰沈着が抑制できるか、またその機序を検討する。
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Causes of Carryover |
検体採取を予定していた症例の石灰化沈着部位摘出手術が、コロナ禍のため延期されており、主な解析が開始できなかった。ようやく今年度の終わりになって採取ができた。
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