2022 Fiscal Year Research-status Report
シングルセルRNA-sequencingを用いた自己免疫疾患患者の妊娠の検討
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22K08559
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土田 優美 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90793597)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自己免疫疾患 / 全身性エリテマトーデス / 妊娠 |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性エリテマトーデスや関節リウマチなどの自己免疫疾患は若年女性での発症も多い。生物学的製剤や免疫抑制剤の開発など、治療方法の進歩により、多くの患者は重篤な臓器障害なく、長期生存することが可能となっている。それに伴い、妊娠・出産を希望する女性も増えており、治療に際して、妊娠・出産への影響についても考慮する必要がある。 しかし、自己免疫疾患患者の妊娠では、妊娠高血圧症候群や早産、流産・死産、子宮内胎児発育不全などの頻度が一般女性と比較して多いことが複数の研究から報告されており、予後改善のために更なる研究、よりよい治療法の開発が必要であると思われる。また、母体の疾患や治療薬が胎児に影響を与える可能性を示唆する報告もあり、今後このような点についても更なる検討が必要と思われる。 本研究においては、健常女性および自己免疫疾患の女性から、妊娠前、妊娠中、産褥期と複数回末梢血を採取し、分娩時には臍帯血も採取し、シングルセルRNA-seq解析を行うことにより、妊娠高血圧や早産、妊娠に伴う自己免疫疾患の再燃と関連する細胞集団、遺伝子の同定を試みる予定である。また、分娩時には臍帯血も採取し、児への影響についても検討を行う。 本年度は、倫理審査を進めつつ、シングルセルRNA-seq解析を行うために必要なライブラリー作成に際しての最適な条件を探るための予備検討を実施した。また、検体採取時期などに関して、既報のデータの再解析を実施し検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実サンプルの回収できなかった点からは、当初予定より遅れているものの、当院には挙児希望のある女性も複数通院されており、2023年度、2024年度で十分なサンプル回収は可能と考える。また、事前に詳細な検討を行ったことにより、より質のよいサンプル・データを得ることが可能と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、実サンプルを収集し、シングルセルRNAseqライブラリーを作成し、シークエンスを実施する予定である。シークエンス結果は、Cell Rangerを使用してマッピングと行い、Seuratと使用して細胞のクラスタリングを実施する。妊娠中の現病の再燃や妊娠合併症と関連する細胞集団の同定を行う。また、Pseudobulk differential expression analysisを実施することにより、各細胞集団における遺伝子発現が、妊娠アウトカムによって異なるか検討を行う。また臍帯血の解析を実施することにより、母体の疾患や治療薬が児に与える影響についても検討する。
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Causes of Carryover |
次年度に主な検体採取を実施する予定としたたため、次年度使用額が生じた。これを使用し、より多くのサンプルを次年度に採取予定である。
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