2022 Fiscal Year Research-status Report
強直性脊椎炎モデルマウスにおける付着部の経時的病態に関する研究
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22K08572
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
田村 直人 順天堂大学, 医学部, 教授 (20227284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 久里守 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70424249)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 体軸性脊椎関節炎 / 骨新生 / 付着部炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
体軸性脊椎関節炎である強直性脊椎炎は、指定難病であり脊椎や仙腸関節などの疼痛、強直をきたし、関節機能不全により患者QOLを著しく低下させる原因不明の慢性炎症性疾患である。本疾患はヒト組織適応抗原(HLA)-B27との非常に強い関連性が知られているが、HLA-B27非保有者でも本症が認められることから、エピジェネティックな要因の関与が示唆される。DecitabineはDNA methyltrasferase阻害薬であり、脱メチル化とsilenced geneの再活性化を誘導し、骨髄異形成症候群の治療薬として使用されているが、Th1およびTh17の抑制によりコラーゲン誘発性関節炎などの炎症性疾患モデルにおける症状軽減効果が報告されている。本研究においては、脊椎関節炎モデルマウスにdecitabineを投与してその効果を検討し、さらに付着部の組織における遺伝子発現、DNAメチル化の変化を経時的、および非投与マウスと比較してその相違を解析することにより体軸関節炎の病態にアプローチすることが目的である。本年度、8-10週齢のSKGマウスにSPF飼育下でβグルカン(Curdlan)を投与し、脊椎関節炎を発症させた。このマウスにDMSOのみ、あるいはDMSOに溶解したdecitabine(10mg/Kg)を投与を投与し、体重、関節炎スコア評価、定期的な血清採取を行った。また、病理検体を保存して今後染色、解析の予定である。付着部の核酸採取に関して、正確な採取を目指して手技的な検討を行っている。またdecitabineの濃度について、より低濃度での効果を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SKGマウスにcurdlanを投与して脊椎関節炎を発症させ、メチル化阻害薬であるdecitabineを投与し、その影響を検討中であり、今年度は組織メチル化DNAおよびRNA解析に進む予定である。現在、体重測定、関節スコア評価、血液保存などは順調に行えているが、decitabineの至適有効濃度の設定、および付着部組織からのRNA抽出についての手技的問題の検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、付着部組織の切り出しとRNA抽出についての方法を確立している。decitabineの濃度設定については10㎎/kgより用量調節を行い、至適有効濃度を設定中であり、間もなく結果が得られる。また、付着部組織からのRNA抽出については、マイクロスコープによる正確な部位確認と短時間でのRNA抽出について手技的な検討を行っている。今年度は組織RNAおよびメチル化DNA解析に進む一方で、関節組織所見、血液マーカーなどのデータ解析を並行して行う予定である。
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