2022 Fiscal Year Research-status Report
糖鎖認識受容体を標的としたインフルエンザ予防メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K08577
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山本 秀輝 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90799082)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | C型レクチン受容体 / インフルエンザ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では微生物糖鎖を認識するパターン認識受容体であるC型レクチン受容体のうち、高マンノース糖鎖を認識するDectin-2に着目し、インフルエンザウイルス由来ヘマグルチニン(HA)によって誘導される宿主免疫応答へのDectin-2の関与を検討した。 HAを各種エンドグリコシダーゼで処理し、未処理HAとともにC57BL/6J(WT)マウスの骨髄由来樹状細胞を刺激後、培養上清中の炎症性サイトカイン濃度を測定した。N結合型糖鎖を切断するPNGase Fで処理したHAでの刺激では、未処理群と比較してIL-12p40産生が有意に低下した。また、A/H3N2亜型およびB/Victoria系統では、α-mannosidase処理により未処理群と比較して有意なIL-12p40濃度低下が観察された。 B/Yamagata系統由来HA投与後の抗体産生応答を解析するため、WTマウスおよびDectin-2遺伝子欠損(KO)マウスに対しB/Yamagata系統由来HAを投与した。投与14日後のHA特異的血清IgM、総IgG産生は両群間で有意差はみられなかった一方で、各IgGサブクラス解析では、IgG2c抗体価がDectin-2 KOマウスにおいて有意に上昇した。また、HA投与14日後の脾細胞を投与抗原で再刺激し、上清中サイトカイン濃度を比較すると、Th2関連サイトカインであるIL-4、IL-6、およびIL-10濃度がDectin-2 KOマウスにおいて有意に増加した。 以上から、Dectin-2はマンノース糖鎖を介してHAを認識して炎症応答を誘導することが明らかとなった。さらに、B/Yamagata系統由来HA投与によるHA特異的抗体産生応答では、Th2応答がDectin-2欠損下で有意に増加しており、Dectin-2がHAにより誘導されるTh2応答に何らかの役割を果たしている可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リンパ球動態の解析に時間を要したため、当初予定していた解析が途中段階となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度はHA投与による抗体産生応答の解析に加え、HAワクチン投与による細胞応答におけるDectin-2の関与の解析に取り組むことができた。次年度はまだ解析が終了していないリンパ球応答の解析に加え、当初計画に予定しているワクチン投与による抗体産生応答におけるDectin-2の関与について解析を引き続き進める予定である。
|
Causes of Carryover |
試薬および消耗品購入において当初予定額より少なく支出が済んだため、未使用額が生じた。この未使用額については、次年度に行うワクチン投与による抗体産生応答解析に使用する試薬・消耗品の購入に充てる。
|