2023 Fiscal Year Research-status Report
The mechanism of exacerbation of cutaneous leishmaniasis by symbiotic virus
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22K08584
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村越 ふみ 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (20759906)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リーシュマニア / 共生ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、リーシュマニアを含む寄生性原生生物(原虫)の多くに、2本鎖RNA(dsRNA) ウイルスが存在していることが明らかとなった。また、dsRNAウイルスの存在は原虫の宿主に対する病原性を高めることが、南米大陸で問題となる粘膜皮膚リーシュマニア原虫(Leishmania guyanensis)において報告されているが、詳細は明らかになっていない。 申請者は、RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤を用いることによって、共生ウイルス(LRV2)を持つL. majorから、LRV2を持たないリーシュマニアを作出・クローン株を得ることに成功した。これにより、共生ウイルスの存在によるL. major側の遺伝子発現の変化とL. majorが感染した宿主側の遺伝子発現変化の詳細な比較解析が可能となった。共生ウイルスの有無のみが異なるL. majorを用いて、マウスに感染実験をおこなった結果、共生ウイルスを持つL. majorを接種したマウスは病変の大きさが早期に悪化した。今年度は共生ウイルスの有無のみが異なるL. majorを接種したマウスの遺伝子発現変化の網羅的解析およびリーシュマニアの生活環毎にウイルスの有無で変化した遺伝子の網羅的解析をおこなった。その結果、リーシュマニアおよびマウスの両方においてウイルスの有無による有意な遺伝子の変化がみられた。特に、マウス側においてウイルスの認識に関わる遺伝子の有意な上昇がみられ、リーシュマニアの病態の悪化はリーシュマニアに存在しているウイルスが宿主の免疫に認識されることによって引き起こされることが示唆された。今回得られた複数の遺伝子は既報で報告されている遺伝子とは異なっており、新たな免疫応答であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は共生ウイルスの有無のみが異なるL. majorおよびそれを接種したマウスのトランスクリプトーム解析が終了した。また、電顕撮影をおこなった。研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今回明らかになった遺伝子の発現を抑えることによってリーシュマニアの病態悪化を抑えることが可能かを、マウスを用いて調べる。 共生ウイルスを除去したリーシュマニアに共生ウイルスを戻す実験が可能かを検討する。
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Causes of Carryover |
今年度はマウスを用いたin vivoの実験に遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。
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