2022 Fiscal Year Research-status Report
肺非結核性抗酸菌症の慢性病態形成に関わる宿主因子の検討
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22K08589
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
梶原 千晶 東邦大学, 医学部, 助教 (80638883)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 非結核性抗酸菌 / NTM / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
Apoptosis Inhibitor of Macrophage(AIM)は成熟マクロファージが特異的に産生する分泌タンパク質であり、アポトーシスを抑制する機能をもつとともに様々な疾患との関連が報告されている。予備検討で、肺NTM症の主な原因菌であるMycobacterium avium感染後のマウスの肺および血中でAIMの産生が増大すること、また、マウス肺内で細胞質に多量の脂質を貯留した泡沫化マクロファージが集積することを見出した。そこで今回、AIMが感染細胞のアポトーシスを抑制し、泡沫化マクロファージ形成を促進することで、病態増悪をもたらすという仮説を立て実験を行った。肺NTM症マウスモデルを作製し、感染当日、1週目、2週目、3週目にリコンビナントAIMを経鼻的に投与し、4週目で肺内菌数を測定したところ、対照群に比べて有意に菌数が増加していた。また骨髄由来マクロファージにおいて、感染と同時に抗AIM抗体を添加すると、アポトーシス細胞数が増加し細胞内の菌数が減少した。このことから、Mycobacterium aviumはAIMを介してマクロファージの不死化を誘導し、増殖の場を確保していることが示唆された。東邦大学医療センター大森病院の非結核性抗酸菌症外来の患者および健常者の血清中AIM量を測定したところ、有意に患者血清中のAIMが高値であった。以上の結果から、Mycobacterium aviumを取り込んだマクロファージが、AIMを介して不死化し、泡沫化マクロファージとなって肺内に蓄積し、肺NTM症の慢性化を引き起こしていることが示唆された(Kajiwara et al, J Immunol. 2023)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
マウス実験を中心にデータを取得し、さらに臨床検体を用いた実験結果を追加して論文を作成しアクセプトされた。
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Strategy for Future Research Activity |
AIM欠損マウスを使った実験を進める予定である。また、AIM産生やマクロファージの泡沫化を誘導する菌側の因子の特定を行う。
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Causes of Carryover |
論文執筆作業や学会参加に時間を割いたため、予定より実験を行うことが出来なかった。次年度は、マウス購入費、遺伝子発現解析の試薬購入および解析委託の費用に使用する予定である。
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