2023 Fiscal Year Research-status Report
HTLV-1水平感染者で誘導されるEnv特異的抗体の性状解析
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22K08594
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
手塚 健太 国立感染症研究所, 次世代生物学的製剤研究センター, 室長 (10754533)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | HTLV-1水平感染者 / 抗原特異的記憶B細胞 / モノクローナル中和抗体 / HTLV-1 Env蛋白質gp46 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人T細胞白血病 (ATL) はヒトT細胞白血病ウイルス1型 (HTLV-1) の感染によって引き起こされるCD4陽性T細胞の腫瘍性疾患であり、極めて予後不良である。根治療法や発症予防法は確立されておらず、新しい治療戦略が望まれる。申請者らの疫学研究によって得られた「水平感染後に感染者に誘導されるHTLV-1 Env蛋白質gp46 197-216AAを認識する抗体(gp46-197抗体)が、生体内プロウイルス量の抑制活性を持つ」という知見に基づき、感染者由来のモノクローナル抗体の医薬品化を目指す。 今回の検討では、HTLV-1水平感染者の血中あるいは単離・精製したgp46-197抗体の中和力価を定量する測定系を確立した。同系を用いてウサギ抗血清より精製したgp46-197ポリクローナル抗体の中和力価を測定したところ、IC50はおよそ9~36 μg/mLであった。次にHTLV-1感染の指標として合胞体の形成数を測定したところ、ウサギgp46-197ポリクローナル抗体の添加濃度依存的にその形成が阻害された。今後はキャリア血中におけるgp46-197抗体の中和力価等の測定を目指す。また、これまでに取得していたgp46-197モノクローナル抗体産生細胞クローンの2株からそれぞれ抗体遺伝子を取得することに成功し、遺伝子組換え抗体を作製した。同抗体の生物活性を検討した結果、中和活性は認められないものの抗体依存性感染増強 (ADE) 活性に寄与する可能性が示唆され、体内でのHTLV-1感染動態との関連に興味が持たれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HTLV-1水平感染者の血中あるいは単離・精製したgp46-197抗体の中和力価を定量する測定系を確立した。これまでに取得していたgp46-197モノクローナル抗体産生細胞クローンの2株からそれぞれ抗体遺伝子を取得することに成功し、遺伝子組換え抗体を作製した。
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Strategy for Future Research Activity |
取得したgp46-197モノクローナル抗体産生細胞クローンの2株からそれぞれ抗体遺伝子を取得することに成功し、遺伝子組換え抗体を作製した。同抗体の生物活性を検討した結果、中和活性は認められないものの抗体依存性感染増強 (ADE) 活性に寄与する可能性が示唆され、体内でのHTLV-1感染動態との関連に興味が持たれた。さらにより多様な抗体産生細胞クローンの取得を目指し、HTLV-1水平感染キャリアの末梢血PBMC からのgp46 197-216反応性メモリーB細胞の単離と培養を継続する。また、HTLV-1のエンベロープタンパク質のin silicoでのモデリング手法を確立し、中和活性に寄与することが期待される抗体エピトープ解析を実施する。
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが、令和6年4月1日以降となったため。当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、令和5年度分についてはほぼ使用済みである。
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