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2022 Fiscal Year Research-status Report

HIVハイリスク非感染者における感染防御に寄与する細胞傷害性T細胞の同定

Research Project

Project/Area Number 22K08603
Research InstitutionKumamoto University

Principal Investigator

近田 貴敬  熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 特任講師 (60749711)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
KeywordsHIV-1 / HIV予防ワクチン / HESN / HIV-1特異的T細胞 / エピトープ
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、未だ有効な予防ワクチンのないHIV-1感染症において、今までとは異なる新たなコンセプトによってワクチン開発を行うために、感染リスクの高い集団(HIVハイリスク集団)の中でHIV-1曝露後に感染が成立しない人(HESN:HIV-1-exposed seronegative)から、感染成立阻止に寄与していると考えられるHIV-1特異的T細胞を同定することを目的としている。
これまで我々のグループは、無治療慢性日本人HIV-1感染者のHIV-1特異的T細胞を解析することによって、多くのHIV-1エピトープを同定してきた。一方で、HESNではHIV-1が生体内に侵入した直後にHIV-1特異的T細胞によって排除されてしまうと考えられるため、曝露されるHIV-1抗原の絶対量は非常にわずかであり、結果的に残存しているメモリーT細胞は慢性感染者と比較し少数であると予想された。そこで我々は、まずHIV-1エピトープとして既に報告されている147種類(26種のHLA型に拘束)のペプチドから12個のペプチドカクテルを作成し、それらで刺激した検体のPBMCを比較的長期に培養した。その後に細胞内サイトカイン染色法(ICS assay)によるIFN-γ産生CD8陽性T細胞の検出を試みた。対象とした検体は、国立国際医療研究センターSH外来に来院した感染リスクの比較的高いと考えられる100名の非HIV-1感染男性同性愛者(MSM)であり、彼らより血液を採取した。その結果、100名中2名からHIV-1特異的T細胞を樹立することに成功した。それぞれHLA-B*51:01拘束性Pol TI8およびHLA-A*02:06拘束性Pol SV9に特異的なT細胞であり、日本人HIV-1感染者において免疫原性が高くかつ非常に強いHIV-1増殖抑制能を有するエピトープであった。
本年度の成果により、頻度は少ないものの日本人のHIVハイリスク集団の非感染者からHIV-1エピトープ特異的T細胞を樹立することができることが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

我々は、国立国際医療研究センターSH外来に来院し、研究参加の意思を示した者の中から採血が可能であった100名のHESNの血液検体を収集することができた。また、HIV-1特異的T細胞検出の対象としたペプチドは既報の147種類のHIV-1エピトープであり、我々はそれらを用いて12種類のペプチドカクテルを作成し、PBMCを刺激後長期の培養を行った。その結果、2検体からペプチド特異的IFN-γ産生CD8陽性T細胞を検出することに成功した。頻度は少ないが、次年度以降解析検体を増やすことでより多くのHIV-1特異的T細胞を同定することを目標としている。ある程度HESN由来のHIV-1特異的T細胞を集め、HIV-1増殖抑制能等の機能を解析することを検討している。
一方で、HESNのPBMCに含まれるHIV-1特異的T細胞の頻度が予想よりもわずかであったため、再検討やHLAテトラマーおよび様々な細胞表面マーカーで染色し表現型の解析を行うためには、予想よりも多くの血液量が必要であることが明らかになった。そのため次年度以降、国立国際医療研究センターSH外来において検体の採血量を増やすことを検討している。

Strategy for Future Research Activity

これまでの研究によって、日本人HIV-1ハイリスク集団(HESN)からHLA-B*51:01拘束性Pol TI8およびHLA-A*02:06拘束性Pol SV9に特異的なT細胞を樹立することに成功した。今後、まずは検体数・量を増やし、より多くの種類のHIV-1特異的T細胞を同定することを試みる。ある程度HIV-1特異的T細胞が集まったところで、拘束HLA分子およびエピトープペプチドからHLAテトラマーを作製し、HESN由来HIV-1特異的T細胞の表現型の解析をおこなう。さらに同様のエピトープに特異的なCTLを、HIV-1慢性感染者から樹立し、機能および表現型をHESNのものと比較し、HESN由来HIV-1特異的T細胞がどの程度ウイルスを抑制する能力があるかどうかを明らかにする予定である。

Causes of Carryover

(理由)COVID-19の流行に伴いHIV-1非感染者からの採血を一時的に停止せざるを得ない期間があったり、また当初計画より採血量を増やす必要が明らかになり、次年度以降のより多くの検体分離のため、予算を次年度に繰越した。一方で、これまでにHIV-1非感染者から検出されたHIV-1特異的T細胞の頻度から、次年度では多くの検体数のスクリーニング解析が必要であると考えられ、そのための予算を次年度に繰越した。これにより、次年度の研究の大幅な進展が期待される。
(使用計画)さらなるPBMC分離用試薬、T細胞培養試薬、IFN-g細胞内染色用試薬、種々の抗体、テトラマー作成のための試薬、プラスチック器具にかかる費用を算出した。さらに、国内外の研究成果の発表に伴う旅費を算出した。

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] HIVハイリスク非感染者におけるHIV-1特異的細胞傷害性T細胞の同定2022

    • Author(s)
      近田貴敬
    • Organizer
      第36回日本エイズ学会学術集会・総会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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