2022 Fiscal Year Research-status Report
宿主細胞のROS動態に着目した新たなクラミジア感染制御法の構築
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22K08607
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
松尾 淳司 北海道医療大学, 医療技術学部, 教授 (50359486)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | クラミジア / 感染制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
Chlamydia trachomatisによって引き起こされる性器クラミジア感染症は、世界でも主要な性感染症であるが、その多くは自覚症状に乏しいこともあり、治療されることなく放置されたことも多い。そのため、感染が上行性に拡大し不妊などの原因となることがある。一般に、性器クラミジア感染症の治療では抗クラミジア薬が用いられるが、不完全な治療例も報告されている。そのため、クラミジアに対する新たな治療法の開発は、性器クラミジア感染やそれに起因する様々な疾患の予防においても重要である。性器クラミジアは偏性細胞内寄生性であるため、宿主細胞の様々な機能を巧みに利用して増殖している。例えば、性器クラミジア感染で産生された活性酸素種(ROS)は、クラミジアの増殖を促進するが、その詳細は不明である。そこで本年度は、性器クラミジア感染によって誘導される宿主細胞内の酸化ストレスの詳細を明らかにするため、感染細胞でモニタリングする実験系の構築を試みた。現在までに、合計4種類の酸化ストレス応答を確認できる遺伝子が導入された細胞の構築を行った。そこで、これら構築した細胞について、酸化ストレス誘導に対する細胞応答を確認するため、ROS誘導剤を用いた実験を試みたが、現在までのところ十分な反応は見られなかった。そこで、現在、新たに別の遺伝子を導入した細胞系の構築を試みており、その細胞系が構築され次第、同様にROS誘導剤を用いて細胞応答が確認できるか検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、性器クラミジア感染細胞時に誘導される酸化ストレス応答を確認できる細胞系の構築を試みた。その結果、細胞系の構築はできたものの、ROS誘導剤を用いた細胞応答の確認では、十分な反応は見られなかった。現在、新たに別の遺伝子を導入した細胞系の構築を試みているものの、十分な成果が得られたとは言えないので、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023度は、引き続き性器クラミジア感染における酸化ストレス誘導が確認できる実験系の構築を行うとともに、別の観点から酸化ストレス誘導を調節することで性器クラミジア感染の動態を確認する予定である。
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Causes of Carryover |
プレートリーダを購入する予定であったが、大学の教員研究費と合算でも足らなかったため、やむを得ず繰り越し、2023年度に購入し、感染細胞のモニタリング実験に使用する予定である。
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