2022 Fiscal Year Research-status Report
脂質代謝に着目したトリパノソーマ感染機構・シャーガス病病態形成の分子基盤
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22K08614
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
石井 一成 福岡大学, 医学部, 講師 (70380954)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | クルーズトリパノソーマ / 脂肪細胞 / 脂質代謝 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
シャーガス病は,サシガメ糞便中に排出される細胞内寄生原虫クルーズトリパノソーマに感染することで発症する疾患である。近年、クルーズトリパノソーマが皮下脂肪組織中の脂肪細胞をニッチェとして定着増殖し、その後の年余にわたる慢性化の原因となっている可能性が示唆された。しかしながら、トリパノソーマの脂肪細胞内での生存・増殖機構の詳細は不明である。本研究では脂質代謝に着目し、脂肪細胞(in vitro)、脂肪組織(マウスin vivo)の両面からクルーズトリパノソーマ感染における脂肪脂肪酸結合タンパク質の役割を明らかにすることを目的とする。 これまでに3T3-L1細胞を脂肪細胞に分化誘導した3T3-L1脂肪細胞において、クルーズトリパノソーマ感染を行うと、脂肪細胞中の脂肪滴が脂肪分解を起こすことを明らかにした。続いて、クルーズトリパノソーマ感染時に、脂肪分解の阻害を検討した結果、感染に影響を与えることが示唆された。C57BL/6マウスを用いたクルーズトリパノソーマ感染実験においても、感染に伴う脂肪組織の退縮が認められた。 また、マクロファージを用いた研究において、クルーズトリパノソーマは酸化ストレスを利用しており、抗酸化環境で誘導されるパスウェイが刺激されるとクルーズトリパノソーマの増殖が抑制されるという報告が見られた。そのため、3T3-L1脂肪細胞を用いたクルーズトリパノソーマ感染における酸化ストレスを検討した結果、脂肪細胞においても酸化ストレスはクルーズトリパノソーマの増殖に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vitroにおいては脂肪分解、酸化ストレスのクルーズトリパノソーマ感染における重要性が見出されており、概ね順調に進展していると考えられる。一方、マウスを用いたin vivo実験においては繁殖交配の遅れにより、一部遅れが見られていた。しかし、この遅延はほぼ解消されつつあり、今後の進捗には影響がないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
クルーズトリパノソーマ感染において重要性が見出された脂肪細胞における脂肪分解について、どのような経路を用いているかより詳細な解析を行う。また、脂肪細胞において酸化ストレスはクルーズトリパノソーマの増殖にどのように重要であるかより詳細な解析を行う。 同時に脂肪酸都合タンパク質欠損マウス、脂肪分解酵素欠損マウスを用いたin vivo感染実験を行い、個体レベルにおける各分子の重要性を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
動物実験のマウス購入、関連試薬購入にて使用する予定であったが、繁殖計画の遅延が生じた。 同様に、海外輸入抗体等の納入遅延が生じた。以上の理由により次年度使用額が生じたが、これらの問題は徐々に解決に向かっており、次年度使用額は本年度分に合わせて使用する予定である。
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Research Products
(4 results)